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「イスラエルと共に」発言で東京五輪“大量ボイコット”の可能性も。アラブ諸国の心証最悪、中山防衛副大臣が炎上体質を再び発揮

防衛副大臣を務める自民党の中山泰秀氏が、イスラエルとパレスチナによる武力衝突が激化していることに関して、自身のツイッターで「私達の心はイスラエルと共にあります」などと投稿したことが、ネット上などで大きな波紋を呼んでいる。

12日午前2時前に投稿されたツイートで中山防衛副大臣は、先述の言葉とともに「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります」ともコメント。とにかく根の深い中東和平問題だが、今回の発言はイスラエル側へ一方的に肩入れするものと受け止められたようで、「やられたイスラエルは無差別に空爆しても良いのか?」「“私達”ってなんだよ」といった批判的な反応が多く飛び交う事態となっている。

この騒動を受けて中山防衛副大臣は、記者からの質問に対して「私はパレスチナの人たちがテロリストだと書いたことは一度もない」「こういったテロリズムをなくしたく、しっかりと訴えたいと思ったまで」などと発言。13日現在、問題となったツイートもそのまま残されている状況だ。

6年前にも「袋叩き」にあっていた中山氏

中山防衛副大臣といえば、祖父母から続く代議士ファミリーの出で、自身は電通勤務を経て、2003年に初当選。ただ選挙はあまり強くないようで、09年~12年の在野期間にはパソナグループの代表補佐に就任する傍ら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程で、元巨人軍の桑田真澄さんやボートレーサーの江口晃生さんらと共に学んだという、ちょっと変わった経歴の持ち主である。

また、現在は日本・イスラエル友好議員連盟の事務局長を務めるほか、公益社団法人日本イスラエル親善協会の顧問にも名を連ねている中山防衛副大臣。かねてからイスラエルとの縁はかなり深いようで、「私達の心はイスラエルと共にあります」との発言も、本人にとってはごくごく当たり前の内容といったところだろうか。

そんな中山防衛副大臣だが、2015年にISILによる日本人拘束事件が発生した際には、現地ヨルダンに設けられた対策本部の本部長に就き、事件解決の陣頭指揮を取ったことでも知られている。

ところが、その際には様々な媒体から「パニックに陥り、職員を怒鳴りまくっていた」「日本に国際電話をかけて『米を送れ』なんて言っていたらしい」「菅義偉官房長官は、外務省関係者からの“思わぬ報告”に嘆息した」など、その仕事ぶりを揶揄するバッシング記事が続出する事態に。記事内容の真偽はもちろん定かではなく、中山防衛副大臣本人も国会答弁などでこれらは事実に反する報道だと否定しているが、その炎上体質・叩かれ体質といったものは、今回の件に始まった話ではないようである。

五輪直前タイミングで気になる「アラブ諸国の心証」

ネット上でも様々な意見が飛び交う今回の件だが、イスラエル寄りといった中山氏自身の思想・信条の是非についてはともかく、副大臣という要職に就く立場での発言としては如何なものか、という意見は特に多いようだ。

特に政府与党にとっては、内閣官房参与を務める経済学者の高橋洋一氏による「さざ波」発言に続く“舌禍”となった格好。ちなみに高橋氏による発言に関して、加藤勝信官房長官は「参与でありましても、個々の活動としておやりになっていることについて、政府としてコメントは控えているところであります」と語っていたのに対し、今回の中山防衛副大臣の件に関しては「中山副大臣の個人のツイッターでの発信であり、その意図は承知していない。コメントは差し控えたい」とコメント。ともに内閣が任命した人材による問題発言にも関わらず、その反応はまるで他人事のようである。

さらに発言の影響が懸念されるのが、開催を間近に控えた東京五輪である。イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への空爆に関して、パレスチナを含む約20カ国・地域で構成するアラブ連盟は、さっそく「人権法に反する犯罪行為」だとイスラエルに対して非難の声をあげるなど、アラブ諸国はいうまでもなく反イスラエルの姿勢。そんな対立下のなかでなされた、五輪開催国の要人によるイスラエル擁護発言が、アラブ諸国の心証にどう影響するのか。下手をすれば総ボイコットの可能性も無きにしも非ず……ということで、ただでさえ開催が危ぶまれている東京五輪だが、さらなる影を落とすことにもなりかねない。

先述のISILによる日本人拘束事件の際、当時は官房長官として官邸で対応にあたっていた菅義偉氏が、中山氏の処遇をどうするか憂慮していたと、当時の“バッシング記事”に書かれていたが、今回の「イスラエルと共に」発言も、菅首相にとっての頭痛のタネとなりそうな情勢である。

Next: 「もう彼のツイートはイスラエルで引用されまくってる」

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