日本の金利は上がらない!?
では、アメリカの金利が上がったからと言って日本の金利も上がるのかというところです。
短期的に見ると、確かにある程度の連動性はあります。
日本の10年利回り国債金利も今年に入って大きく上がっています。
そもそもなぜアメリカが金利を上げようとしているかというと、最大の理由はインフレの抑制のためです。
これはアメリカのCPI(消費者物価指数)の推移です。
物流の混乱や生産者の不足などでものの価格が上がっているところにさらに金融緩和でお金をばらまいていて、物価の上昇に拍車がかかっています。
2021年12月にはなんと7%も価格が上昇しました。
これが続くと、低所得者層や年金生活者は苦しくなってしまうので、これを抑えるために金利を引き上げて物価を下げるという動きを行わなければなりません。
ところが、今の日本のCPIはこのようになっています。
確かに物価は上がっていますが、数字を見ると、0.6%に過ぎません。
アメリカの7%に対して0.6%なので、大して上がっていないというのが正直なところです。
日本も物価が上がり始めてはいますが、これは金融緩和によるものではなく、物流費や原油価格の上昇によるいわゆる“コストプッシュ型”のインフレなので、利上げを行ったところで物価にはさほど影響がないということになります。
国内情勢だけを見ると、日本は金利を上げる必要は必ずしもありません。
しかし、アメリカの金利に合わせて上げなければならないケースもあります。
アメリカの金利が上がると、自国で運用するよりアメリカに持って行って運用するほうが利益が出るということになるので、世界中からアメリカにお金が集まる、つまりドルが買われ、ドル高となります。
円安ドル高となってしまうと輸入物価が上昇してしまうので、それを抑えるために利上げを行ってアメリカに流れてしまったお金を引き戻さなければならないという側面があります。
一方で、日本には輸出企業が多く、円安になると海外競争力があがるので、円安はどちらかというと歓迎される向きがあります。
したがって、円安になったからと言ってそう簡単に利上げを行うかというと必ずしもそうではありません。
また、ドル/円のレートを見ても、今は1ドル=115円といったところで、過去と比べてもそこまで円安の状況ではありません。
この間も日本の政策金利はほぼゼロでしたから、それでもそこまで円安になっていないので、日本はそう簡単に金利を上げないのではないかというのが私の考えです。
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