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なぜ中国は覇権国になれないのか。日本を抜き去る「少子高齢化」ほか三重苦で経済発展ストップへ=勝又壽良

安易な財源造りが命取り

中国における最大の見誤りは、「土地本位制」経済にたっぷりと浸かってきたことだ。日本の平成バブルが、不動産担保金融の破綻であったと同様に、中国も同じ過ちを国家レベルで行なったという救いがたい事態へ落ち込んでいる。

平成バブルは、民間企業が土地を担保にして銀行から借り入れを増やしたことが発端である。通常の不動産担保は、時価の6割が妥当な評価水準である。ところが、実際には120%というさらなる値上り期待で銀行融資が行なわれていた。こういう貸出姿勢の金融機関が、その後の地価崩壊ですべて整理の対象になった。

私は、この状況を記者として目の当たりにした。1990年のバブル崩壊(1月4日に株価大暴落)を、最も早い時点で「週刊東洋経済」社説で取り上げたのである。

日本の場合は、民間企業における異常な金融問題であった。中国は、土地国有制を「悪用」して、土地売却益を中央・地方政府の財源(2020年は35%)に繰り入れていることだ。これは、中国全体が不動産担保金融に落ち込んでいた希有の事例である。

世界最初の中央銀行は、英国のイングランド銀行(1844年)である。通貨発行の担保を何にするかで議論した。その際、土地担保案が出されたが、地価上昇によるインフレを警戒して却下した。代わって、商業手形が選ばれた。これならば、経済活動が一巡すれば回収されてインフレを招かないという理由である。この背後には、金本位制が控え通貨価値への信頼性をさらに保証した。

中国は、前記のような通貨発行の歴史に挑戦して、「土地本位制」を選んでしまった。これまでは、地価値上りで財源が豊富であった。インフラ投資や国防費の隠れ予算にふんだんに使ってこられたのである。

中国が、世界覇権を握れると錯覚した経済的な要因は、この土地本位性の「魔性」にある。打ち出の小槌を握っていると錯覚したのだ。

現在、住宅バブルの崩壊で地価が値下がりしている。地価値下がりによる土地売却益減少で、地方政府は財源不足の直撃を受けている。すでに公務員の給与が大幅カットされた。中国経済は、地価値下がりで沈没の危機を迎えている。そういう認識が、中国当局にあるだろうか。

20年の土地売却益は、過去最高の8兆4,000億元(1兆3,000億ドル)であった。これは、豪州のGDPを若干、下回る程度である。豪州のGDP(1兆4234億ドル)は、世界13位だ。これだけの「国富」を地価値上りで手にした中国は、錬金術で土地を「通貨」に変えたのである。

手品は、いつまでも通用しない。昨年から「ネタばれ」状態になっており、今年はさらに下落するという予測が一般的である。

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