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なぜ中国は覇権国になれないのか。日本を抜き去る「少子高齢化」ほか三重苦で経済発展ストップへ=勝又壽良

なぜ「ゼロコロナ」に固執する?

ここまでの犠牲を払って「ゼロコロナ」を行なうのは、習近平氏の国家主席「第3期」就任(22年秋)に、コロナ退治という虚像が必要なためである。

中国国内は、コロナと無関係にすべて平穏に進んでいる、というフィクションが必要なのだ。米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループが、2022年「世界10リスク」の第1位に、中国の「ゼロコロナ」を上げている理由である。「ゼロコロナ」が、それほど大きなリスクを抱えているという意味なのだ。

22年の中国は、不動産バブル後遺症による土地販売額の低下20%と、「ゼロコロナ」による小売販売額の落ち込み(8分の1へと低下すると前提)が重なれば、経済成長率が昨年よりも急低下するに違いない。

当局は最低限、5~5.5%成長率に固執しているが、ほとんど不可能と見られる。

今年の中国成長率について、ゴールドマン・サックスは4.3%、ノムラも4.3%と予測している。JPモルガンは4.9%と予想するが、いずれも5%割れである。

高齢社会入りの「悲劇」

今年の中国経済は、これまでにない厳しい条件であるが、構造的に赤信号が灯った。

それは、21年の普通出生率(人口1,000人当たり)が、「7.52人」となったことだ。2019年が、「10.50人」であるから、目を覆うばかりの減少である。

世界銀行データで、2019年の「普通出生率」を見ると。米国11.40人、台湾7.53人、日本7.00人、韓国5.90人である。中国の7.52人は、ほぼ台湾や日本並の普通出生率へ落ち込んだことを示している。

これは、中国経済に重大な警戒信号となるはずである。出生率の低下は、潜在成長率を引き下げるからだ。中国は、すでに米国を大きく下回っており、世界覇権で米国へ挑戦する環境にないのだ。中国が、この厳しい現実をどこまで認識しているかは不明である。

中国は昨年、65歳以上の人口が全体の14%超で「高齢社会」に突入した。中国が、「高齢化社会」(高齢化率7%)から、「高齢社会」(同14%)へ移行するのに要した期間は20年である。24年かかった日本を上回るペースで高齢化が進んでいる。日本の高齢社会入りは1995年、1人当たり名目GDPは4万4210ドルであった。中国の、1人当たり名目GDPは2020年でやっと1万0511ドルだ。この段階で、中国は高齢社会入りである。気の毒と言うほかない。

鄧小平の最も危惧した「未富先老」が、ついに中国を見舞ったのである。

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