強固なビジネスモデルで問題なし!「オーケー」の乱は波及するか?
ただし、そもそも花王は強いビジネスモデルを持っています。
「日用品」というものは、急激に大きく伸びるものでもありませんが、一方で”負けにくい”もので、長期にわたって利益を出し続けるという性質があります。
ゆえに、あのウォーレン・バフェットも日用品業界を高く評価しています。
花王は食器用洗剤や洗濯用洗剤といった基本の商品で高いシェアを取り続けてきました。
スーパーの棚の占有率も高くなり、スーパーとのパイプもできて流通も強くなりました。
すると、洗剤だけではなく、商品軸を拡大することができるようになります。
今までは無かったけどこれからの人々の生活に必要だという新商品を生み出し、売り上げを伸ばしてきました。
既存の商品に関しても、より高付加価値の商品を生み出すことで価格を引き上げ、利益率を向上させてきました。
商品軸の拡大と高付加価値商品による利益率の向上、これによって必ずしも成長できていない日本経済の中でも業績を伸ばし続けてきました。
感覚的には、価格を上げると消費者が付いてこないのではないかと思えますが、花王においてはその心配は少なくなっています。
日用品業界は少数のメーカーによる寡占の状態だからです。
スーパーの棚でも、花王、ライオン、P&Gの商品がほぼ占めていて、それ以外のメーカーの商品が入る余地はないと思います。
洗剤なんかは一度買ったら多くの人は次も同じ商品を買うでしょうし、同じブランドで価格の高い高付加価値商品に誘導することで利益率を上げていきます。
寡占市場なので、一社が値上げをすると暗黙の了解で他の会社も追随するということも起きやすくなっています。
よほどの失敗が無い限り、価格を上げやすい環境であるということです。
今回の決算発表会でも、足元の原材料高を受けて値上げを断行すると言っています。
ところが、その値上げに反発した会社があります。
スーパーのオーケーです。
値上げをするならもう花王の商品は置かないという強い態度を示しています。
これほど強く出られるスーパーはなかなか無いと思いますが、こういう動きが出てきたことは花王としても無視できないと思われます。
オーケーはそこまで規模は大きくありませんが、例えばイオンなんかが同じ動きをすると花王も困ってしまいますので、そのあたりのパワーバランスは今後注視する必要があると思います。
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