結局、花王は「買い」なのか?
では、この株価低迷を受けて、花王は買いなのか、というところを見ていきたいと思います。
PER21.4倍というのは必ずしも割安といわれる数字ではありません。
平均が15倍と言われていますから、むしろ割高に見えます。
逆にこれまではPER30倍とかで取り引きされていましたから、下がったとはいえまだ割高な水準です。
しかし、私は花王のPERは他の会社と比べて高くていいと考えています。
その理由はPERの決定要因にあります。
簡略化すると、あるべきPERはこういう式で表せます。
リスクが高いとPERは小さくなり、成長性が高いとPERは大きくなります。
花王は成長性はそれほど高くはないですが、盤石の基盤があるのでリスクが相当低いです。
低いリスクとまあまあの成長性ということで、結果的にあるべきPERは割と高いものとなります。
これまでは平均して25倍くらいで取り引きされていたので、投資家の見方ではそのくらいが妥当なのではないかと思います。
それに比べて21倍というのは割安であると見えます。
そして、連続増配銘柄ということで、これからも利益を増やしていけるのであれば配当も増えていくと思われます。
現在の配当利回りが2.8%で、増配を続けるとなると、買値に対する配当利回りはどんどん上がっていくことになるので、安定銘柄として持っておくには良い状況なのではないかと思います。
安定銘柄といっても、今のように株価が下がることは往々にしてあります。
そういう時に手放すのではなく、本当にその銘柄に自信があるなら、下がった時に買うことが大切です。
目先の上下動ではなく、その企業が長期にわたって利益を伸ばし続けられるかを判断する能力が長期投資家には求められるのです。
しかし、私は花王の買いを煽るつもりはありません。
皆さん自身で考えて納得して判断していただきたいと思っています。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2022年2月12日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。