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NYダウ大幅下落で見えた「クッキー廃止」の破壊力。日本人投資家が気づかないIT業界全体の窮地

17日、NYダウ622ドル安と今年最大の下げとなった。メタは4.1%安、引き続きグーグルによる「サードパーティクッキーレス」問題を悪材料に売られた。問題は2つ。広告ターゲットの精度が低下すること。そして、そもそも広告の成果結果の測定が難しくなること。日本ではこのサードパーティクッキー問題、まださほど大きくは取り上げられていない。しかしことはIT業界全体にお金が入って来なくなる、あるいは巨額の対策費用がかかる。業界や投資家にとってもはや避けては通れない大問題になりつつある。にも関わらず日本の投資家はまだあまり目を向けていない。(『新天地の株式投資日記』)

※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年2月18日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。

プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。

NY雑感

NYダウ:3万4,312ドル −622(−1.78%)
NASDAQ:1万3,716 −407(−2.88%)

アメリカ国債10年利回り日足(SBI証券提供)

アメリカ国債10年利回り日足(SBI証券提供)

アメリカ国債5年利回り日足(SBI証券提供)

アメリカ国債5年利回り日足(SBI証券提供)

債権利回りは低下した。しかしこれは「リスクオフの債権買い」のため株安を伴う。株をうった資金が債権に逃避するような流れだった。

NYダウ日足(SBI証券提供)

NYダウ日足(SBI証券提供)

NASDAQ日足(SBI証券提供)

NASDAQ日足(SBI証券提供)

ナスダックとNYダウ比較チャート(SBI証券提供)

ナスダックとNYダウ比較チャート(SBI証券提供)

過去半年の比較チャート。金利上昇に弱いとされるグロースが多いナスダックが明確にNYダウの後塵を拝している。ナスダックが半年前に比べ10%の下げで済んでいるのは、アップルなど時価総額が大きな株がまだそれほどは下げていないためで、半年で2分の1や5分の1になった元人気グロース株はごろごろしている。

NYダウ日中足(SBI証券提供)

NYダウ日中足(SBI証券提供)

NASDAQ日中足(SBI証券提供)

NASDAQ日中足(SBI証券提供)

少しは押し目買いが入ったNYダウに比べて、プログラム的に売られ続けたナスダックが下げ幅が大きくなった。

ウクライナ危機「開戦は先延ばし」? リスクオフで相場下落

17日のアメリカ市場は地政学問題からリスクオフ、そしてグロース株が一方的に下げ幅を広げる展開になった。つれて相場全体も下げている。

ナスダックは3%に迫る強いコレクションが発生している。警戒感はボラティリティの上昇につながりVIXが上昇。アメリカはSQ日でもあり先物オプションに絡んだ指数への売りも相場を下げさせる要因になった。

主要指数を先導するとされる中小型株指数ラッセル2000も2.4%を超える下げで心理の悪化に繋がっている。成長株に集中投資するイノベーターIBD50ETF(FFTY)も2.77%下げ。主要指数に比べて下げが大きいことが下げの特徴を端的にしめす。

「開戦は先延ばし」(と僕は思ってる)しているものの西側とロシアはNATO拡大やロシアの安全保障をめぐってお互いに少しでも有利になるように激しい論争を展開。ロシアが軍事力と「石油や天然資源の供給を脅しに使って」強制力を誇示する流れが収まらないことで供給面からインフレ懸念を煽る警戒感が相場を下げさせた。

少なくともロシアは果実を得なければ、軍隊を引くにはあまりにもエスカレーションが過ぎている。しかしそのロシアが求める果実は西側にとっては容認し難い。落とし所はまだ見つかっていないことが再確認された。

プーチンはウクライナ地域から軍隊を引き始めていると発言するも、もはや誰もその言葉を信用できない。火曜日から「ロシア軍の一部が撤退行動を開始した」という報道で株価はリバウンドしていたわけだが、木曜日に入ってはバイデン政権は「ロシアが実際には7000人もの軍人を追加した」と公言している。

一方、失業保険申請件数では24万8,000件の新規失業保険申請が発生。21万8,000というコンセンサスより悪化した。好悪の解釈は分かれるところだが、子どもの登校問題(学校閉鎖で家に子どもがいるので働きに出られないなど)や育児問題が解決に向かう中で職を諦めていた「子を持つ女性」などが求職活動を始めた裏返しという見方が出ていた。

Next: 何が起きている?ビッグテックと半導体がグロース株の下げを先導

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