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NYダウ大幅下落で見えた「クッキー廃止」の破壊力。日本人投資家が気づかないIT業界全体の窮地

ビッグテックと半導体がグロース株の下げを先導

市場環境が悪化する中で「ファントムブレーキ」(自動ブレーキが誤作動する問題)やイーロンマスクの言動の悪影響、モデルスリーがフォードのEVよりも低評価されたコンシュマーリポートで下げたテスラ。

「サードパーティクッキーレス」(個人情報保護のために最適な広告が使えず収益が落ちる問題)で下げたメタ。

さらに決算の好調にも関わらず、今期以降のガイダンスに高評価が得られなかったエヌビディア。

これらの企業が売られ、ビッグテックと半導体がグロース株の下げを先導する形になった。またフィンテックなど、「まだ利益が上がっていない若いグロース株」が「洒落にならん下げ率」なのも、個人投資家にはかなりの痛手になっている。

「地政学リスクによる下げはずっとは続かない」?

もちろん警戒感がある中で、地政学リスクからの下げは、S&P500にとってはチャンスととらえる分析家もいる。 前も書いたけど、S&P500は世界の株式指数の中で最も地政学リスクに強いとするリポートが紹介されてた。
※参考:S&P 500: These 10 Stocks Sell Off Hard As The World Braces For War | Investor’s Business Daily(2022年2月17日配信)

真珠湾以降、さまざまなショックが襲ったがS&P500は迅速にそれをカバーしていると。最大の危機、真珠湾の時でさえ143日間さげ下げ率は19.8%に達したが307日でそれを回復したのが回復に時間を要した最長。最近、と言っても32年前だがイラクのクェート侵攻でさえ71日間さげ16.9%調整したものの189日で回復した、と。平均では20日下げるものの43日で回復してますよ、ということになる。

こういうデータから「地政学リスクによる下げはずっとは続かないよ」という話になるんだろうね。

一方で、資源が絡む戦争、第二次世界大戦やイラクのクェート侵攻、東西冷戦の熱戦化である朝鮮戦争では調整が長引いたのは気になるところ。今のウクライナ問題は両方の特徴を兼ね備えているから。

原油下落の要因は

なお、地裁学リスクにも関わらず、 原油が下げているのはイラン核問題の解決(制裁緩和)期待。

先日も書いたけど、 イランは制裁前250万バレルを日量で輸出していたが、それが現在は50万バレルを大きく下回るとみられる。

逆に言えば制裁が解除されれば200万バレル近く輸出する能力はある(もちろんすぐには増量できないがその能力はある)。

一方で、現在パンデミック前からOPEC加盟国が生産量を減らしているのが、日量で250万バレルほど。つまり価格維持のためにOPECが減産しているかなりの部分をイランが補える余地がある(非OPECのロシアなども減産中なので全部を補えるわけではないが、これがカバーできればかなり大きい。そして原油はいったんトレンドが発生すると数ヶ月以上トレンドに従う傾向がある)。

気になるアルゼンチン大幅利上げと仮想通貨下落

さらに。アルゼンチンがまた大幅な金利上げで42.5%!に。

世界的なインフレの中で、非先進国にとってかなりきつい金融政策を余儀なくされる構図も見えてくる。

あとビットコインがまた下げ。現状、リスクが高まると金と違って売られやすいというのが仮想通貨の現在地なんだろう。

Next: IT業界に減収危機?サードパーティクッキーレス問題に要警戒

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