EVはバッテリー、モーター、充電、航続距離性能がすべて
内燃機関をもった従来からのクルマは部品点数が極めて多く、ピラミッド型の典型的なアッセンブリービジネスとして長年機能し、日本やドイツのメーカーは非常にこの領域では高い商品精度を確立できる知見と能力をほしいままにしてきたといえます。
ところが電気自動車では猛烈に構成部品が減少し、その性能はバッテリー性能、モーター性能、充電性能と、その最終的な組み合わせで得られる航続距離性能に集約されています。
さらにクルマの制御はパソコンと同様、ソフトウェアによってすべて管理されるようになっていることから、後発メーカーが先行メーカーに追い付くのは、かなわない世界に突入しようとしています。
ここで紹介しているヒョンデの「IONIQ 5」もその類の商品で、今のところ500万を切るぐらいの価格ですから、決して格安というわけではありませんが、ドイツでもカーオブザイヤーを取得するなど、既存メーカーと十分に対抗してやっていける商品に仕上がっていることに驚かされます。
日本の自動車市場を韓国・中国メーカーが席巻する日
2000年頃の地デジの実施で液晶テレビが急激に普及して、当初、シャープは国内生産モデルのレベルの高さを懸命に訴求し、「亀山モデル」がどうのとやたら広告にも店頭POPにもそれをアピールポイントとしていましたが、気がつけばまともに国内で液晶テレビを製造するところはなくなってしまいました。
さらにパソコンもスマートフォンも、アップル社製品以外はほとんど中国製、挙句にiPhoneも中国製造となっているわけです。
ですから、EVの世界で韓国製が国内市場を席捲する、あるいはその背後に控える中国製が大挙して市場に乱入してくる時代が訪れるまでには、それほど時間がかからない気がしてきます。
幸い国内には猛烈なメーカー各社の販売ルートが存在していますから、韓国・中国EVが国産車に取って代わるには、それなりの猶予期間があるのだろうと思います。
しかし、このヒョンデの「IONIQ 5」の詳細を見るにつけ、国内自動車メーカーが完全にBEV領域で後塵を拝しかけている点が非常に危惧されるところです。