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将来はもっと円安になる。「円資産だけ」は自殺行為、日本の国力衰退を反映して円の価値は損なわれていく=鈴木傾城

ドル円レートは129円台に到達した。遠い将来を見ると、円は弱体化する国力を反映して「もっと」安くなるのは避けられない。日本が奇跡の復興を遂げれば話は変わるが、今の政治を見てみると、急に目覚めて経済成長をするような国になるとはとても思えない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

円は高すぎても安すぎても日本に大きなダメージを与える

2022年4月20日。いよいよドル円レートは129円台に到達することになった。3月の上旬は114円台だったわけで、あっと言う間に15円近くの円安になったと言える。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

エネルギー価格の上昇、物価の上昇、公共料金の上昇など、国民生活に大きなダメージを与えている為替相場だが、政府の「口先介入」はまったく効いておらず政府よりも国民の方が危機感を募らせている状態だ。

グローバル化の中では、それぞれの国の通貨の価値は相対的に決まる。通貨が高ければ外国からモノを安く買える反面、自国の商品は外国からは高く見えるので売れ行きが落ちる。

逆に通貨が安ければ、外国の製品が高くなる反面、自国の商品は外国から安く見えるので売れ行きが上がる。

日本はエネルギー資源がないので、外国から資源を買うしかない。そのため、円が高くなってくれればエネルギーを安く買えるので国民生活は楽になるように見える。

しかしながら、日本は外国にモノを売って生きている国なので、円がある程度安くなってくれないと企業が競争力をなくしてしまう。企業が競争力を失うと、それが従業員に跳ね返り、結果的に日本人を苦しめる動きになる。

つまり、円は高すぎても安すぎても日本に大きなダメージを与えるわけであり、一方的な円高も円安も「まずいこと」なのである。

2009年から2012年まで続いた「悪夢の民主党政権時代」は、民主党がひたすら「円高誘導」「円高維持」の政策を続けて、日本企業も日本経済も大ダメージを被っていた時期だった。

この当時、ドル円レートは1ドル70円~80円台だったが、これによって日本企業は国際的競争力を失って大きなダメージを受けていた。

円安と株高は「日本を取り戻す」ために必要だった

この円高傾向が変化したのは2013年からである。安倍政権がアベノミクスをひっさげて、意図的にドル円レートを適切な円安に戻した。これによって、やっと日本企業は国外で価格競争力を回復させた。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

しかし、民主党政権で受けたダメージはあまりにも大きかったのと、少子高齢化によるイノベーションの欠如や、人口減による内需の縮小や、産業構造のシフトへの対策の遅れなどが重なって、日本企業が再び大躍進したという話にはなっていない。

この民主党政権時代に円高でボロボロになっていく日本企業を踏みにじって成長したのが中国や韓国の企業である。結果を見ると、民主党政権は意図的な円高を固定化させて日本企業の競争力を大きく削いで日本を破壊したことになる。

そんなわけで民主党から政権を奪い返した自民党・安倍政権が極度の円高を是正したのは、日本を取り戻す上でトップ・プライオリティの仕事だった。円安と株高は、まさに「日本を取り戻す」ためにやらなければならないことであったのだ。

それを見事にやったから安倍政権は安定政権に入ったのである。

では、どんどん円安にしていけば良いのか。それが、そう簡単な話ではないのが為替の動きでもある。

Next: いま何が起きている?急激な円安は物価上昇の連鎖を引き起こすだけ

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