あまりに急激な円安は物価上昇の連鎖を引き起こすだけ
あまりにも過剰な円安が来ると、今度は国外からモノを輸入している日本は購買力を失って物価上昇に見舞われる。
コロナ禍の中で世界各国はロックダウンを余儀なくされた。これによって世界的なサプライチェーンが混乱して物価が上昇し、世界中の中央銀行が異次元の金融緩和をしたのでますますインフレが加速した。
さらに欧米の経済が回り始めると原油・資源の価格が上昇するようになって、世界的に物価上昇が止まらなくなってしまった。ロシアによるウクライナ侵攻という不意打ちもあった。
日本はそこに「円安」という材料が加わったのだから、物価上昇が国民生活の大きな脅威になりつつある。
どんどん円安にしていけば、最終的にはインフレとなる。日銀は2%のインフレを目標としているのだが、あまりに急激な円安は物価上昇の連鎖を引き起こすだけである。
ドル円レートは129円台に到達した今、まさに社会不安が増長している。
10年や20年先に、どちらの国が経済成長しているのか?
通貨は国家によって操作されることもある。政治家が意図的に為替誘導の方向性をどちらにするかを「不用意にコメント」すれば相場は簡単に動くくらいなのだから、行き過ぎを是正したいのであれば、政府はやれることは何でもするだろう。
どこの国でも、行き過ぎた通貨高・通貨安は政府によって是正されることは珍しくない。完全に市場原理に委ねられる市場はない。大抵は干渉が入る。
そういう意味で、今の日本で起こっている急激な円安は、どこかで巻き返しがやってきたとしても不思議ではない。金融市場のすべての商品は、一方的な上もないし、一方的な下もない。
日銀は金融緩和を続けると発言し、アメリカのFRBは金融引き締めと利上げをすると発言しているので、金利差が開くと基本的には円安ドル高は継続する。しかし、基本的にそうだったとしても、政府の介入が始まったら状況は一変するので、私自身は円がどう動くのかの短期の予測はしない。
短期予測はするだけ無駄だ。2012年当時、円は50円になるとか10円になるとか、大声でわめいていた経済アナリストも大勢いたが、全然当たらなかったのを見ても分かる通り、世の中は複雑系なので短期の動きなど予測しても始まらない。
状況はいつでも簡単に変化してしまうのだ。