日本は米国主導のロシア制裁に加担していてよいのだろうか。現実を見れば、日本がロシアによる核攻撃を真っ先に受ける可能性が高いことがわかる。日本国民の7割が「ロシア制裁を続けるべき」と回答したとの調査があるが、制裁を続けるのであればロシアと戦争する覚悟を持つ必要がある。(『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』矢口新)
※本記事は矢口新さんのメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』2022年4月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。
ロシアを挑発したウクライナ
前もって断っておくが、私はロシアのウクライナ侵攻を支持しない。また、戦争そのものを支持しない。
とはいえ、ロシアとウクライナとの戦い、あるいは、ロシアとNATO、ロシアと米国との戦いに、日本が関与することも支持しない。日本が戦争に巻き込まれるリスクが高まるからだ。
実際に戦争を行っている国に対して、戦争する気がないのに、敵対的な制裁を続けるのは危険な挑発行為ではないか?武器を持って暴れている者に向かって、日本は素手で敵対行動をとっているのだ。
周知のように、ウクライナはロシア向けにミサイルを配備しているNATOに加わるとしたことで、ロシアと戦争になった。これは長年にわたって、それだけはやめてくれと言い続けてきたロシアへのあからさまな挑発だ。
実際に、NATOは2014年以降、ウクライナに軍事訓練を施しており、ウクライナはNATOが供給した武器で戦っている。ロシアはウクライナのその挑発に乗ったのだ。
※参照:「ウクライナ軍善戦の秘密:長年にわたるNATOの訓練」- WSJ(2022年4月13日配信)
「ロシアの核」標的は日本?
とはいえ、これはロシアとも、ウクライナとも友好関係を続けてきた日本にとっては、直接には関係がない話だ。日本ができる最善の策は、両国との関係を維持したままで、調停に乗り出すことではないか?
現状のウクライナ戦争では、米国の安全保障に危機はない。あるとすれば、ロシアを追い詰めることで、核戦争につながってしまうリスクだ。
私は、日本がロシアの核攻撃の標的にされるリスクが最も高い国だと見ている。そうだとすれば、日本は米国主導の制裁に加担しロシアを追い詰めることで、自ら核攻撃を受けるリスクを高めていることになる。
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