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ロシア核攻撃の標的となる日本、戦争する覚悟はあるか?米国主導の経済制裁に加担する愚かさ=矢口新

関東軍の憲兵もロシア兵も怪物ではない

私事だが、4月23日(土)は父方の伯父の13回忌だった。伯父は関東軍の憲兵として終戦を迎え、ソ連軍の侵攻で、1950年までシベリアに抑留された。そして帰国後は、現地で死亡した戦友の寡婦と息子たちと籍も入れず、血を分けた子どもも持たずに、死ぬまで暮らした。その遺骨は分骨され、姓が違う先方の墓と、矢口の墓とに入っている。

生前の伯父は、5年間もシベリアに抑留したロシア人の悪口を一切言わなかった。また、日本陸軍の精鋭とされた関東軍が、戦後は犯罪者のごとく扱われるようになったことについても、一切の愚痴を言わなかった。ただ、当時の思い出を書いた手記と、憲兵隊の生き残りが平成7年に出版した『槿花一日の栄』(著者:吉形進、発行者:関東憲兵隊関係者相互連絡情報誌「栄光」)を私にくれただけだ。私は伯父の弟の長男として矢口の跡継ぎとなった。

『槿花一日の栄』を読むと、事実として確認できる証言だけでも、憲兵に対する認識が一変する。当たり前のことだが、彼らは怪物ではなく、我々と同じ喜怒哀楽のある人間だと言うことが分かる。今の日本人よりも誇り高く純粋かも知れない。また、乱暴狼藉を働くロシア人だけでなく、日本の民間人の脱出を助けたロシア将校のことも書かれている。ちなみに、槿花とは、むくげの花のことらしい。

日本に戦争する覚悟はあるのか?

日本にはプーチンとの友情を語っていた有名人たちがいた。しかし、その多くは今回のプーチンの弁明に聞く耳を持たず、絶交宣言を公にした。友情とはそうしたものなのだろうか?ロシア人に対しても第二次世界大戦後の満州、樺太、千島列島への侵攻を持ち出して、その人間性まで否定している。

どんな悲惨な戦争も、核攻撃も、始まる前までは懸念でしかない。しかし、世界がロシアを追い詰めるほどに、孤立が深まるほどに、その懸念が現実となる可能性が高まっていくのだ。

欧米がロシアに対して強気なのは、いざとなれば戦う準備ができているからだ。日本にその覚悟はあるのか?

日本の現在の行動は、日本人の命にかかわる問題だ。日本が核攻撃の標的になるリスクを高めているのだ。

政府はオリバー・ストーンの報道ドキュメンタリーを全国民に推奨し、それでも、敵対的な制裁を続けるべきなのかどうかを、国民に判断させるべきだと言える。

Next: 米国との関係を維持したままで、ロシア制裁に加わらないのが最善策

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