イー・アクセスを買収したソフトバンク・孫正義代表が見ていたもの
同じような事例にイー・アクセスがあります。「イー・モバイル」のブランドで携帯電話事業を展開していた会社で、2012年にソフトバンクに買収されました。
買収公表前、イー・アクセスの株価はPER 5.8%、PBR 0.6倍、配当利回り5.3%と非常に割安に放置されていました。
業績は巨額の初期投資による赤字から抜け出し、これから利益を出していこうとする段階まできていたので、なぜこんなに割安なのかと不思議に思ったのをよく覚えています。
割安なイー・アクセス株に対し、ソフトバンクは時価の3.5倍もの評価を与えて買収に踏み切りました。
それほどまでに高い評価をした理由は、電波帯の割当です。割当は総務省が行うもので、自社ではどうすることもできません。ドコモやauにおくれをとっていたソフトバンクは、何としても電波帯を獲得して、自社のつながりやすさを改善したかったのです。
そのためには、買収に高い対価を払ってもお釣りが来るという計算だったのでしょう。イー・モバイルの価値は電波帯にあったのです。
イー・アクセス株は、最終的に買収公表前の4倍にまで上昇しました。企業に確かな価値があり、株価がそれを下回る水準で放置されているなら、いつかきっと価値が実現するという事例です。
ちなみに、これにより儲けたのは、イー・モバイルの大株主となっていたゴールドマン・サックスをはじめとする外国資本でした。
Next: あなたがバリュー株投資家だからこそ訪れる幸運