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ゴーンCEOの見つめる先~日産はなぜ三菱自動車を買収するのか?=栫井駿介

既報の通り、日産が三菱自動車を買収することになりました。三菱自動車にとっては渡りに船となりましたが、2社をはじめとする自動車業界はこれからどのような方向に向かっていくのでしょうか。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

販売台数1000万台を武器にトヨタ・VW・GMとの技術開発競争に挑む

「東南アジア強化」のインパクトは大きくない

日産が三菱自動車を買収する理由として以下のようなものが報じられています。

  • 軽自動車での協業を強化
  • 三菱自動車が得意とする東南アジアでの販売を強化
  • 世界自動車販売台数1000万台グループ入り

このうち軽自動車での協業はあまり発展性がありません。今回の燃費不正の温床となった軽自動車ですが、元来この2社にとって得意とするものではなく、販売台数を稼ぐための「弱者連合」でした。軽自動車のシェアは、ダイハツとスズキが3割ずつ、ホンダが2割と上位3社で8割を占めています。

【関連】日産による三菱自動車買収が「究極のバリュー株投資」と言える理由=栫井駿介

さらに昨年の軽自動車に対する増税によって、販売台数は大きく減少しています。トップシェアを争うダイハツとスズキでさえも苦しんでいる状況です。軽自動車は国内のみの「ガラパゴス」規格であるため、今後この分野で成長していくことは難しいと考えられます。

次に考えられるのが、地域的な補完関係です。日産が得意としているのは北米と中国、三菱自動車は東南アジアや欧州です。それだけ聞くと、お互いの弱みを補っているように見えます。

しかし、下のグラフを見てください。日産と三菱自動車では販売台数に大きな開きがあります。仮に日産に三菱自動車が追加されたとしても、補完と言えるほどの水準ではありません。もちろん、重複も少なく、ないよりましではありますが、日産を大きく変えるようなインパクトのある提携とはならないでしょう。

【出典】決算説明資料(2016年3月期ほか)

【出典】決算説明資料(2016年3月期ほか)

地域に関して言えば、どの会社も喉から手が出るほど欲しいのが中国とインドです。人口と経済成長率が桁違いに大きい2国ですから、ここをおさえることが世界の覇権を握ることにつながります。日産は日本メーカーの中では最も中国を得意としているので、ここであえてリスクを犯して三菱自動車に頼る理由はないと考えられます。

Next: 日産が三菱自動車に期待すること〜自動車業界は技術開発競争へ

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