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貧乏な男は淘汰されるのか?動物行動学者・竹内久美子さんに聞く、少子高齢化で絶滅へ向かう日本人の未来=鈴木傾城

収入を増やすことに関心のない男性が淘汰されるわけではない?

鈴木:現代の資本主義社会でも魅力的な男性は依然としてモテますが、そこに財力があるかないかも深く関わって来るようになってきています。

しかし、収入を増やすことに関心のない男性も多いです。婚活の現場でも年収が低い男性は最初から相手にされない現象もあります。そうすると、生物学的常識ではそういう男性は今後も結婚のチャンスはほとんどないし、子どもを残すチャンスもなくて社会から淘汰されてしまうことになるのでしょうか?

竹内:では資本主義社会で財力のない男がどう繁殖すべきか。確かに財力のある一部の男に繁殖の機会が集中することでしょう。

しかし繁殖とはちゃんと結婚してからするとは限りません。たとえば財力はないが、男として魅力があれば、ヒモ男として生きるとかお金持ちのマダムの浮気相手といった繁殖の道も開かれます。ちなみにヒモ男こそが男としての魅力を最も必要とする最難関の繁殖戦略だと思います。

鈴木:なるほど。財力がなくてもワルっぽい男はそれだけでモテますが、あれは別の方面からアプローチしているということなのですね。

少子高齢化で大和民族は滅ぶのではなく変わっていく?

鈴木:ところで繁殖と言えば、日本はいま世界でも最悪の少子高齢化が進んでいて、今後も20年かけて高齢者はどんどん増えていく一方で子どもの数は減る一方です。大和民族はまるで繁殖をあきらめてしまった民族のように見えてしまいます。先生の目から見ると、この現象というのはどう考えておられますか?

竹内:私は生物学を学ぶことで、こういう局面がどう展開していきそうか、ある程度予測することができます。多くの人々が憂うように、少子化が進んで日本人がいなくなるというよりも、日本人を構成する人々の面子の割合が変わるほうへ進むのではないか、と。

鈴木:日本を構成する人々の面子の割合……というのはどういう意味でしょうか?

竹内:今、子どもを育てることが難しいからと繁殖を諦めている人々というのは、子どもを一人育てあげるにはこれこれこれくらいの費用がかかるという見積もりをもとに、それは大変なことになる、やはり子は諦めるべきなのかと真面目に将来を考える人々でしょう。

鈴木:そうですね、現実を見回すとそのようになっています。

竹内:しかし中にはそんなことを気にせずにどんどん子を産み、一人一人の子にあまり投資することなく育てあげてしまうというタイプの人々もいます。結局、後者のタイプの人々がよく繁殖することになり、将来的には真面目で悲観的な人々よりもそういうタイプの人々の割合が増えるという結果になるのではないかと思います。

鈴木:なるほど、そういう意味なのですね。少子化で日本人がいなくなるというよりも、むしろ「日本を構成する人々の面子」が変わってしまうということですか。確かに、言われてみたら納得です。ということは将来の日本人は、今のように将来をよく考える人たちよりも、ある意味、思い切りが良い日本人に置き換わっていくということですね。いろんな意味で、日本は「今と違った国」になってしまいそうです。

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