ポテトチップス60周年の節目も値上げ＆内容量減が続出の異常事態。発売42年目で初値上げの「うまい棒」の製造会社では違法な長時間労働も発覚

2022年8月23日ニュース

8月23日は、今からちょうど60年前の1962年に「湖池屋ポテトチップスのり塩」が発売された日ということで、日本記念日協会も認定する「湖池屋ポテトチップスの日」ということなのだが、昨今の原材料費高騰はそんなポテトチップスにも暗い影を落としているようだ。

今月19日に湖池屋は、スティックタイプの「カラムーチョ」など5品目を、11月出荷分から4％から9％程度値上げすると発表。同社は今年6月にもポテトチップスなど13商品に関して、9月出荷分から値上げすると公表しており、一部商品は今年2月に続く値上げになるものも。また、値上げに加えて内容量も減らす商品もあるという。

同じくポテトチップスでは、カルビーも今年6月に主力の「ポテトチップス」など157品目を、今年9月以降に順次値上げすると発表しており、「ポテトチップス」などに関しては今年1月に続く値上げとなる。さらに今月頭には、「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」など30品目も、11月出荷分から値上げすると報道されている。

内容量がどんどん減っていくポテトチップス

今月19日に発表された7月の全国消費者物価指数だが、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が102.2で、前年同月比では2.4％の上昇に。4か月連続となる2％を超える伸び率で、さらに先月と比べて伸び率がアップするなど、物価高の加速が止まらないといった昨今。

必ずしも生活必需品というわけではないものの、日々の生活のなかで食べるのを楽しみとしているという人も多い菓子類だが、それらも今年に入り値上げの報が相次いでおり、来月9月からは上記の2社以外にも、明治やロッテなどでも商品の値上げが実施される予定。

さらに22日には、現在税抜きの参考価格が20円の「チロルチョコ」の4種類に関しても、9月5日から3円値上げされるとの報道も。1993年以来となる29年ぶりの値上げということで大いに注目を集めたのだが、このように他の様々な物品と同様に、菓子類に関しても今秋は値上げのラッシュとなるのは確実な情勢だ。

いっぽうで、昨今の相次ぐ値上げと合わせて取沙汰されているのが、内容量を黙って減らすという、いわゆる「ステルス値上げ」や「サイレント値上げ」の類。

知人からポテトチップスをいただきました。ビッグバッグの内容量て170gだった気がしましたが、いつの間にか内容量減ったんですね。
最近は色々な物の物価が上がっていますし、価格据え置きでも内容量を減らすという事なんですかね。 pic.twitter.com/eyVJtgJq5R

— 高速かもめ号 (@ECSvwujie9mFJHu) August 13, 2022

https://twitter.com/moonlace13/status/1554378753195020288

ポテトチップスは年々内容量を減らしているのでダイエットに適している。

— 仏教的視点からリハビリをみる (@butsu_reha) August 12, 2022

もともとは、消費者からの反感を買いやすいストレートな価格の値上げの代替案として行われていたステルス値上げ。特にポテトチップスに関しては、かなり前から断続的に行われていたとされ、過去にはこのまま内容量の減少が進めば、来世紀初頭には内容量がゼロになる……といった“ネタ話”が、大いに話題となったこともあったほど。

•2104年問題とは
90gで発売が開始されたポテトチップスが徐々に内容量を減らし60gになったことを受けた問題
このままでは2104年頃に内容量が0になること。 pic.twitter.com/7E00PChxUs

— こんぽたbot (@Konpotabot) February 17, 2018

これらのステルス値上げに関しては、ダイエットするには都合がいいといった見方もごく一部からはあがるものの、普通の値上げ以上に嫌悪する声も多いのが実際のところ。そういったこともあってか、最近では先述の湖池屋のニュースのように、内容量を減らすことを正直に明かすケースも多くなっているようだが、しかしながら値上げと内容量減を合わせて実施せざるを得ないというのも、昨今の原材料費高騰の異様ぶりが如実に表れているとも言えそうである。

「うまい棒」では違法な長時間労働が発覚

このように、このところの相次ぐ値上げに対しては、消費者の間でも致し方なしといった一種の諦めムードが漂っており、モノによっては「むしろ値上げすべし」といった声もあがることも。

人気のスナック菓子である「うまい棒」も、今年1月に税抜き10円から12円と、42年の歴史で初となる値上げを行うと発表したが、その際には「むしろ今までよく10円で頑張った」などと、それまでのコスト削減の徹底ぶりを称賛する声が多くあがっていたのも記憶に新しいところである。

しかしここに来て、その「うまい棒」の製造会社において、違法な長時間労働があったことが発覚し、会社とその社長が労働基準法違反（過重労働）の疑いで書類送検されるという事態に。残業代が適正に出てたのかどうかは不明だが、ともかく低価格の維持は働き手の多大な犠牲によって成り立っていたのかと、SNS上などでは失望の声が多くあがっているというのだ。

昨今の値上げに関しては、会社の利益が上がることで社員の給料も増え、それによって消費者の購買力がアップし景気も良くなる……といった好循環を期待する見方も多いのだが、実際のところ物価の上昇に見合った賃上げなどの動きは、今のところほとんど見られない状況。仮にいずれは好循環のサイクルに入るとしても、それがどれぐらい先のことなのかは一切見通せず、その間に消費者や労働者に強いられるであろう犠牲は、このままだと相当なものとなってしまうのは間違いなさそうな情勢だ。

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