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なぜダブル・スコープで真面目な投資家たちが大損したのか。投資顧問が見た裏側と実像、バイオベンチャーとは異なるリスクと今後の業績予想=栫井駿介

なぜ個人投資家を駆り立てた?

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この状況で「なぜこんなに個人投資家を駆り立てたのか?」ということにも注目したいと思います。

今みたいなストーリーを聞けば、「じゃあいよいよこれからだな」「株価もこれからだな」というところは見てとれるわけです。

ただ決して知名度の高い会社ではありません。しかも先ほど言いましたように、時価総額もそこそこありますから、ちょっと誰かが煽って上がるような銘柄でもないのです。

なぜこれだけ個人投資家を駆り立てたのでしょうか?

それはやはり「実態が伴っていたから」という部分があるのではないかと思います。業績も間違いなく目先回復していましたし、継続企業の前提に関する注記も取れて、いよいよ雲が晴れてきたというところです。

<EV市場拡大への期待>

さらにはマクロ経済を見ますと、EV市場拡大への期待があるわけです。今世の中は、EVがEVだと言っています。

実際にそのEVに対する電池、リチウムイオン電池に対する需要が盛り上がってるのは間違いないわけです。そこにどうやらダブル・スコープが入り込めたのではないか。あのサムスンに部品を卸しているのですが、そこからの受注が大きく増えているというところがあります。

<韓国子会社上場>

さらに直近で株価が大きく上がったのはこれがあります。韓国子会社である、ダブル・スコープ・チェジュプラントが、韓国市場(KOSDAQ市場)に上場するということがありました。

このイベントが、今回の株価上昇とストップ安というところに大きく関わってくるのですが、ここは後ほど説明します。

<SNSでの「先導者なき買い煽り」>

今みたいなお話、ストーリーが、SNSで拡散。

ある意味真面目な投資家がいたのだと思うのですが、この真面目な投資家が今みたいな話を真面目に発信。

それを見た多くの投資家が「これはどうやらリアルっぽいな」ということで、そこに賛成するというような状況が続いたのです。

なかには当然信用取引を行っている人たちも、少なからずいたということです。

韓国子会社上場

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子会社上場について少し解説します。

ダブル・スコープの状況というのは、ダブル・スコープがほとんど持ち株会社みたいな感じで、これは日本の会社としてあります。

そこにダブル・スコープ・コリアというのがあって、韓国で実際には製造とか研究開発などを全部韓国で行っています。事実韓国の会社です。

さらにはこの一番新しいダブル・スコープ・チェジュプラント。今、上場する子会社です。

プラントというからにはおそらく工場なのではないかと思います。この工場が一部その資金調達のために、資金を一部、株を一部売った。

外部の投資家に売った。それが現在100%ではなく、49%持っているという状況です。

一部売ったものを、いよいよ上場させてしまうと。もちろん、その株を買った投資家もただ株を持っているだけじゃいけません。

「何とか現金化してリターンを得たい」という考えがあるのではないかと思います。

(ダブル・スコープ・チェジュプラント)が韓国上場を果たしました。

上場なのですが、ここがまたトリッキーなところで、元々上場した会社、ダブル・スコープチェジュプラントは当初2,700から3,400億円。日本円にして、これぐらいの金額になると開示でも出ていたのです。

会社が上場する時は、まず仮条件というのを出します。「これぐらいでどうですか?」「2,700から3,400億円ぐらいでどうですか?」ということを1回投資家に提示するのです。

しかし提示した金額に対して「いやいや、この価格じゃ買わないよ」「買いたくないな」みたいな話になってくると、それを引き下げていかざるを得ないのです。

最終的にどうなったのかというと、2,700億からだったはずなのに、2,000億円ということで決まったのです。

3分の2ぐらい縮んでしまった。想定より縮んでしまった。これが個人投資家の失望を招いて、3日連続ストップ安という状況になったのです。

そもそも株価を見ますと、上場を控えて「お祭り騒ぎだ」ということで、買った投資家が多かったところに期待を裏切られて、ガツンと下がったという状況があるわけです。

Next: そんなにやばいのか?投資顧問が見たダブル・スコープの実態

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