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なぜダブル・スコープで真面目な投資家たちが大損したのか。投資顧問が見た裏側と実像、バイオベンチャーとは異なるリスクと今後の業績予想=栫井駿介

ダブル・スコープという会社の企業分析記事です。ダブル・スコープは3営業日連続ストップ安となりSNSで話題になっていました(2022年9月16・20・21日)。どうやら多くの個人投資家が信用取引を行っていて、追証がかかったりしたらしく、阿鼻叫喚の声が聞こえているということです。ただ、ダブル・スコープがどんな会社なのかということを、真剣に取り上げているところがあまりありませんでした。この記事では企業分析という観点で、ダブル・スコープ取り上げ、「今後どのような状況が想定されるのか」「投資家はどのように考えて、投資を行うべきなのか」ということについて述べていきたいと思います。もしダブル・スコープ持たれている方、あるいはこの件に興味がある方は、ぜひご覧になっていただければと思います。他で出されている情報とは、少し違ったテイストになるのではないかと思いますが、1つの観点として見ていただければと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

経緯〜3日連続ストップ安で阿鼻叫喚

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まず「今何が起きているのか」という経緯から説明していきましょう。

ダブル・スコープが、3営業日連続でストップ安を記録したのです(2022年9月16・20・21日)。元々3,000円ぐらいあった株価が、一気に半値まで下がるという状況になっています。

ここで問題になっているのは、個人投資家です。

信用取引を行っていた個人投資家が多いと見られ、いわゆる「買い残」が膨らんでいったのです。その中で株価が半値になってしまうということですから、いよいよ追証が発生するという投資家がたくさん出てきている。これは自己破産だというような人が多く出てきているとみられるのです。

しばしばこういう状況は起こります。今年に入ってからでも、こういった阿鼻叫喚的な事例はかなり発生しています。

一方で、その翌日はストップ安にはならず、売買が成立し、プラスで推移しているという状況があります(編注:原稿執筆時点2022年9月22日)。

まず言っておきたいのは、一般的にこういう株価が吊り上がって、そして一気に落ちていくという事例は、いわゆる煽り屋的な人が関わっていることが少なくありません。意図的に特定の銘柄を引き上げて、ある程度多くの人を巻き込んだときに自分は退く。そして後に残った人がババ抜きをやるというケースが多いのです。

しかし今回は必ずしもそういう事例ではないと思います。なぜなら、これまで株価が上がってきた経緯を見れば、なんとなくそういう気がするわけです。

株価

ダブル・スコープ <6619> 日足(SBI証券提供)

ダブル・スコープ <6619> 日足(SBI証券提供)

まず株価の経緯を見てください。

実は今年(2022年)の5月ぐらいから、じわじわと上がってきた経緯があります。4月にかけて1回大きく盛り上がりまして、その後少し下がったのですが、ここにきてまた大きく盛り上がりました。

株価としては、5月の1,000円ぐらいから3,000円と、3倍ほどの上昇となり一気に駆け上がってきたわけです。時価総額も1,000億円ぐらいあるので、ちょっと煽っただけで動くような株価、時価総額ではないのです。

いわゆる仕手株みたいなところは、時価総額が低いので、ちょっとお金が入れば大きく株価がブレやすいという傾向があります。しかし時価総額が1,000億もあったら、そう簡単には動かせない。

ということは何かもっと違うような力が働いたということが推測できるわけです。

その違う力というのは、一つは後で解説するのですが、今のSNS時代独特の物だと思います。

Next: ダブル・スコープってどんな会社?なぜ今ストップ安に?

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