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なぜダブル・スコープで真面目な投資家たちが大損したのか。投資顧問が見た裏側と実像、バイオベンチャーとは異なるリスクと今後の業績予想=栫井駿介

ダブル・スコープの今後

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ダブル・スコープの今後です。

<業績の振れ幅が大きい>

あくまで業績の面ということなのですが、確かに目先調子いいと言いながら、この業界として多額の研究開発や設備投資が必要であることから、業績の振れ幅は非常に大きいです。

今、一時的に調子がいいかもしれないですが、また同じようなことが十分起こりうる。赤字になってしまうことが考えられる業界なのです。しかもこの業界の最後発ですから、上には東レとか旭化成など大きな会社がたくさんあるわけです。

<綱渡りの経営が続く可能性が高い>

そんな中で一番下に何とか位置する会社ですから、今後も綱渡りの経営が続く可能性が高いのではないかと思います。

特に技術的な強みを持っているわけでもないと思われますから、今EVに対する需要、リチウムイオン電池に対する需要がたまたま盛り上がっているから、そこに一番最後発ながらうまく入り込めたというところがあります。

もし、またこの市場がシュリンクする。予想ほど伸びないみたいなことになると苦しい。

<今はボーナスタイムかもしれない>

とはいえ現状は需給が逼迫しているEVで需要が盛り上がってるので、この間はまあ食い込んでいけるだろう。ある意味ボーナスタイム的なところがあるかもしれません。

一方で技術的な優位性に関しては、技術の話なので、私はもちろん分からないところもあります。しかしそれがついているような技術が見られず、あくまで価格競争を安く納入できるから採用されている側面がまだあるのかなというところがありました。

したがって、例えばつばめ投資顧問としてこの会社を推奨するということは、まずないという銘柄ではあります。ちなみにダブル・スコープで困っている人を無理やりつばめ投資顧問の会員にしようとか、そういうつもりは一切ございませんので、そこは伝えておきます。

<まとめ>

まとめますと、(ダブル・スコープは)そんなにおかしな銘柄ではありません。

ただ今回のストップ安というのは、非常に期待が高まりすぎていたというところがあります。それに信用取引をやっていた個人投資家が多かったことで、阿鼻叫喚の図を生んでしまったというところがあるのではないかと思います。

個人投資家へひとこと

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何より個人投資家の皆さんに気を付けてもらいたいことを最後発信しておきたいと思います。

<「話題になっている」というだけで飛びつくのは愚の骨頂>

「話題になっている」「誰かがツイッターで取り上げていた」「多くの人が何か喋ってる」というだけで飛びつくというのは愚の骨頂であるということは申し上げておきます。

その人が何故それをわざわざ発信しているのか?中には煽り屋みたいな人もいますから、そこに対する注意も必要です。

もし真剣に話している人がいたとしても、別にその人が成果を保証してくれるってことはまったくありません。そこに対しては、十分冷静になって考える必要があります。

<現物でも勝てないのに、信用取引を行うなどもってのほか>

特に初心者(にいえるのですが)現物でも勝ったことないのに信用取引を行うなんて、もってのほかです。

確かに目先一気に、お金持ちになってやろうと思うと、信用取引というのは勝ち負けは何倍にもなりますから良いものではあります。しかし一方で、マイナスも何倍にもなってしまうのです。

これをやるからには、

  • 余程自信がある人。
  • メチャクチャ分析しまくって投資に自信があるという人。
  • もし駄目だった場合は、すぐ逃げる準備がある。
  • 仮にその投資がゼロになっても構わない。

そういった人はやって良いですが、そうでもないなら(初心者は特に)そうでなくても、とにかく手を出すべきではない。それが信用取引であると思うんですね。

私の動画で「なぜ信用取引が危ないのか」ということは別の動画でも解説しております。ぜひこちらもご覧になっていただければと思います。

<他人の分析は参考になるが、取引するには必要なことがある>

特に今回のケースは、何か煽っているというわけではなくて、ちゃんと真面目に分析している人たちがいたのです。そしてその分析というのは非常に参考になるのです。

ただ、鵜呑みにするのは危険です。取引するには、最低限以下のような話が必要であると考えます。

・言っている意味が理解できるか
結構難しいこと言ってますよね。それがわかってないのに取引するということは、もしその見込みが外れたときに「自分がどうしたらいいか?」ということがまったく判断できません。

・そのロジックに納得できること
なんと言ってるかわかっていても、自分が納得できなかったら投資しないというのが大前提です。言ってることはわかるけど「自分はそうなるとは思わない」と思ったら、当然投資を中止すべきです。

・もし外れたらどうなるか想像する
言っていることが外れたら、自分はどれぐらいこの取引で損をこうむってしまうだろうかということを考える。そこまでやらないと、そもそも投資というのはできない。慎重な投資、まともな投資というのはできないわけです。ここを最低限担保して、その上で人の意見を参考にするというのはありだと考えます。

・想像力が足りない人は、投資に向かない
何より想像力です。自分がこの取引を行ったらどうなるのか?この会社はこれからどうなるのか?という想像力を働かせられない人は、そもそも個別株の投資には向いてないと思います。

そこから、もう一度立ち返って考えて、こういった事例があるということを気を引き締めて見ておく必要があるわけです。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:from1826 / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2022年09月28日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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