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韓国、世界一の「借金癖」で3回目の通貨危機へ。救済されてもまた繰り返す=勝又壽良

通貨危機の裏にある借金癖

国際金融協会(IIF)の『世界負債』報告書によると、韓国の第1四半期(1~3月)の家計負債が、世界36の主要国の中で唯一、GDPを上回って104.3%になった。企業負債(金融企業を除く)は、対GDP比で116.8%である。韓国の家計負債比率は、昨年第2四半期(4~6月)から、ずっと主要国1位を記録している。

家計債務と企業債務は性格が異なる。家計債務は、消費が目的である。企業債務は、設備投資や研究投資など利益を生み出す目的だ。こういう債務の性格に違いはある。だが、対GDP比で、家計債務が100%を上回ったのは後々、返済を巡って大きな問題になる。

韓国の対GDPの家計負債比率が、昨年4~6月以降に主要国で1位になったのは、文政権の住宅政策失敗が背景にある。文政権5年間で、ソウルの住宅相場は8割も値上りした。この住宅相場の高騰に煽られ、駆け込みで住宅購入した層が、多くの借金を抱えている。このほか、低金利を利用して株式投資にのめり込んだ層も借入金を増やしたのだ。

こうした状況下で、韓国の政策金利は米国の利上げに引っ張られる形の追随引き上げを迫られてきた。米連邦準備制度(FRB)は先週、0.75%ポイントと大幅な基準金利の引き上げに踏み切った。4回連続の0.75%ポイントの引き上げだ。米国の基準金利が、15年ぶりの最高値である3.75~4.0%に高まった結果、韓国金利(3.0%)との差は1%ポイントにも広がった。こうなると、韓国は再び利上げを迫られるのだ。

韓国は、21年7月に政策金利0.5%を0.75%に引き上げて以来、これまで矢継ぎ早の引き上げである。0.5%時代は、20年5月からでざっと14ヶ月も続いた。この間に、不動産バブルの「燃料」が仕込まれたと言える。今から振りかえれば、痛恨の期間になった。

少ない1人あたり金融純資産

韓国の家計債務を国際比較すると、興味のあるデータが得られた。韓国は、1人あたり名目GDPに比べて、1人あたり金融純資産(金融資産-金融負債)が少ないことだ。

韓国はよく、1人あたり名目GDPで日本へ接近して来たとか、経済的に無意味な購買力平価換算で日本を抜いたとか、韓国に都合のいいデータだけを並べて悦に入っている。

だが、1人あたり金融純資産では日本の45.2%(2020年:OECD調べ)と半分以下である。こういうデータを並べると、「日本が朝鮮を植民地にして資産を吸い上げた」などと暴論が出て来そうだが、個人レベルの金融純資産でもこれだけの差があること認識すべきである。

参考までに、過去の日韓の1人当り金融純資産のデータを掲示した。

<日韓の1人当り金融純資産比較(単位:米ドル)※OECD調べ>

       日本   韓国
2010年  88.382  29.061
2011年  93.495  28.844
2012年 101.406  31.669
2013年 106.912  33.293
2014年 110.923  36.270
2015年 110.323  40.215
2016年 110.731  41.462
2017年 115.526  44.190
2018年 115.972  44.074
2019年 113.217  47.023
2020年 128.723  58.277

日本は、2014年以降の金融純資産の伸びが鈍化している。これは、為替政策の転換で円安に転じた結果である。賃上げが低いという理由もある。この点は、反省しなければならない。

韓国の1人あたり金融純資産が、日本の半分以下という事実は何によってもたらされたのか。それは、言うまでもなく韓国人の「借金癖」にも影響されている。

Next: 鈍い金銭感覚が招く落とし穴。借金も他人の責任にして逃げ回る…

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