アフガニスタンにも間違いなく同性愛者がいる
LGBTに最も厳しい扱いをしているのはイスラム諸国である。
LGBTはどこの国、どこの地域にでも必ず存在する。たとえ、イスラムの世界であっても存在する。イスラムの世界では同性愛は到底許されるものではないから国によっては即座に死刑の対象になる。
「同性愛者を殺せ」という煽動が起きた国もあった。ウガンダである。国によっては同性愛者への嫌悪が剥き出しになる地域があり、そうしたところでは「同性愛者だから殺せ」と言う論理にまで突き進むのだ。
「同性愛者を殺せ」と言えば、アフガニスタンでもそういう戒律になっており、タリバンは実際に同性愛者を処刑している。
しかし、どんなに処刑したところで、今でもアフガニスタンのどこかで、同性愛者が息を潜めて暮らしているはずだ。彼らはカミングアウトした瞬間に命がなくなるのでカミングアウトしないが、間違いなく存在する。
どこの国でも人間がいるのであれば同性愛者も一定数いるのだから、アフガニスタンだけが例外のはずがない。
確実な統計はないのだが、人口の2〜13%はLGBTだという説がある。仮に人類の5%が確実にLGBTであったとすると、世界人口は78億人なのでLGBT人口は少なく見積もっても3.9億人近くいるということになる。
ならばアフガニスタンの人口は4,010万人なので、約200万人のLGBTがいてもおかしくない。存在が死に直結する社会ではカミングアウトなど絶対にできないので、彼らは孤立したまま社会に違和感を持ちながら生きているのだろう。
イスラム圏ではいまだにLGBTは異常者・変質者扱いであり、犯罪者並みに忌避されており、問答無用のリンチや死刑の対象となる。恐怖に震えながら口を閉ざして生きている彼らの姿が目に浮かぶ。
共生に向けた啓蒙活動が重要なはずだが…
LGBTをカミングアウトしたらリンチされたり殺されたりするような社会であれば、それは完全に人権侵害であり、LGBTの人たちの人権を守るために私たちは全力で努力しなければならない。
しかし、日本は別にそのようなことにはなっていない。言うまでもなく日本は人道国家であり、主義主張が何だろうと、性癖が何だろうと、LGBTだろうと何だろうと、ごく普通に日常を暮らせる社会がすでにできている。
ただ、一部の政治家たちの嫌悪感を見ても分かる通り、LGBTに対しては好印象を持たない人がいるというのは事実である。だとすれば、自分たちの存在を分かってもらい、共生できるように手を取り合って社会の認識を変える啓蒙の活動が重要なはずだ。
そうしないで、「差別するな、嫌うな、人権を守れ」と声高に世間に突きつけ、自分たちを好まない人間を片っ端からレイシスト扱いし、吊し上げるような運動や抗議は、果たして正しいのだろうか。