UUUMの二の舞?さらなる成長の可能性はあるか
実際にYouTuber事務所のUUUMも伸びる時は今のANYCOLORのように伸びていましたが売上高は頭打ちになり、今ではどちらかというと減少傾向にあります。
VTuber事務所は今は「にじさんじ」と「ホロライブ」の2強で、仕組みを整えるのも難しかったりして参入障壁は低くはないですが、やろうと思えばできないことではなく、これほど儲かるのであればと参入が増えて競争が激化することも考えられます。
今は成長性に対してPERが低いように見えますが、PERというものはその利益が継続する場合に意味を持つもので、利益や成長が続かないのであればあまり意味はありません。

ANYCOLOR<5032> 日足(SBI証券提供)
UUUMの株価は2018~19年頃にピークを打ってその後はひたすら下がっているという状況ですが、ANYCOLORもこうなってしまうのかと思ってしまいます。
しかし、ANYCOLORにはUUUMとは少し違う部分もあります。
その1つはコスト意識です。
売上高の成長が止まっていてコストが増えていると利益が減っていくことになってしまいますが、資料を見ると、利益率が重視されていて、コストをいかに抑えていくかということが書かれています。
このことから、これまで調子よくやってきた割には慎重な会社なのではないかと私は思っています。
新興事業でこれだけ利益を出していると、多くの場合は新しい事業にどんどん投資したり人をたくさん雇ったりしてコストを増やしてしまうのですが、ANYCOLORはそういうことはなく、従業員も増えてはいるものの売上高ほどは増えていないのでこれだけ利益が増えているところがあります。
この慎重さは評価できるポイントであると思います。
もう1つ好材料は、海外で成長していることです。
UUUMは日本人が見るYouTubeのYouTuber事務所であり、すでに海外にもYouTuberはいるので、海外で戦える状況ではありませんでしたが、一方二次元の分野では日本は強いです。
海外の声優が二次元のキャラクターを使ってVTuber活動をすることによって、海外、特にアメリカで収益をあげています。

売上も実は既に3割近くをアメリカが占めていて、海外で成功しつつあるという点では非常に稀有な存在で、日本のIPビジネスの強さを改めて感じるところではあります。
もっとも、アメリカにおいてもいずれは頭打ちになってくるとは思いますが、また他の国に進出していけばまだ成長も可能かと思います。
もっと長期的な話をすると、やはり成長はどこかで頭打ちになると思います。
ANYCOLORがさらに成長するためには次の一手を打っていく必要があります。
VTuberの仕組みを盤石なものとして強みを磨きながら、自分たちが勝てる分野に進出することができるのであれば長期的に見ても面白い会社だと思います。

ANYCOLORが描くような展開が実現するようなら次の成長があってもおかしくないと思います。
不確実性が高い銘柄なので決しておすすめするわけではありませんが、面白い分野なので注目してみてもよいかもしれません。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年6月21日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。