絶好調の決算発表後に下落……なぜ?
しかし、これだけ好調でありながら、決算を受けた株価は下落しています。
決算が発表されたのが6月14日の場が引けた後ですが、15日になって一瞬上がったもののその後下がって終値は前日を下回っています。
売上が約80%増、利益が約2.2倍になっているにもかかわらずなぜ下がってしまったのでしょうか。
考えられる理由はいくつかあります。
日本企業は本決算の時に今期の業績予想を発表しますが、株価が反応するのはこれまでの実績よりも今期業績予想の方です。
売上高が30.2%増、営業利益が34.9%増と、これもかなり高い数字ですが、決算における前年度との比較の売上高78.9%増、営業利益124.5%増と比べると低く、成長鈍化と見られた可能性があります。
株価下落の要因はこちらのデータからも推測できます。
右の「ANYCOLOR ID数」はお客さんの数のことですが、順調に伸びています。
しかし、気になるのは「VTuber数」と「YouTube再生時間」です。
YouTube再生時間は、日本においては(「にじさんじ」表記)2022年をピークにそれほど伸びていません。
VTuber数も同様で、新しい人は入ってきてもその分売れずに卒業する人も出てくるので総数としては増えていません。
見てくれる人は増えているものの、VTuberの数や再生時間は増えていないというのが現状です。
改めてVTuberというものを考えてみると、AKBグループに代表されるアイドルに近いものがあると思います。
AKB48は“会いに行けるアイドル”ということでライブでファンを獲得し、握手会であったりCDを販売することで利益を出していました。
VTuberも、“バーチャル”という仕組みは新しいものの、ライブ(配信)でリアルタイムで会話をすることでファンを獲得し、ボイスやグッズなどの販売につなげるというやり方はアイドルと似ています。
しかし、こういうやり方ではいつかは頭打ちになってしまいます。
一部にファンは増えているとしても、一般に広まっていくとは考えにくく、熱狂的なファンの課金によってある程度のところまでは売上が上がるとは思いますが、そこから伸び続けることはなかなか難しいでしょう。
それがPERにも表れていて、これだけ利益が伸びてきているのにPER29.2倍(6/20時点)と低めで、どこかで成長が止まると多くの人が考えているのではないかと思われます。
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