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プリゴジンの反乱を手引きしたのは誰か?日本では報道されない真実とプーチンの次の一手=高島康司

ワグネルは「ロシア軍情報機関(GRU)」の産物

ここで重要な点は、プリゴジンだけに焦点が当たっているが、実は「ワグネル」の指導者はプリゴジンだけではない。

周知のようにプリゴジンは、スタンドのホットドッグ売りから身を興し、レストランのオーナーとなった人物だ。その後、ケータリングサービスの企業を成功させ、プーチンとの関係ができた。このようにプリゴジンにはまったく軍歴がない。

そのような人物が、戦闘集団である「ワグネル」をなぜ設立できたのだろうか?筆者にはナゾであった。プリゴジンは「ワグネル」の実力者では確かにあるものの、「ワグネル」を動かしている別な人物や勢力がいるのではないかと思っていた。

実は「ワグネル」の背景を調べると、ドミトリー・ウトキンという共同創立者がいたのだ。むしろ、「ワグネル」の本当の実力者はウトキンなのかもしれない。事実、占拠した「ロストフ・ナ・ドヌ」からモスクワに進軍していた3,200人の部隊を指揮していたのがウトキンだった。ウトキンの動向から今回の反乱を見ると、まったく知られていなかった事実が見えてくる。

実は「ワグネル」は、「ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)」の産物なのである。単なる民間軍事会社ではない。「GRU」はロシア軍の最高情報機関である。プリゴジン自身は軍歴がないものの、もう一人の共同設立者であるドミトリー・ウトキンは、「GRU」の特殊部隊、「スペツナズ」の特殊工作員だった。

「スペツナズ」は少なくとも1949年以来、おそらくそれ以前から存在している。彼らは通常、敵陣の背後で秘密裏に作戦を遂行する。彼らは最新の装備で武装しており、ロシアの敵の裏庭に小型核兵器を仕掛けることができると疑われてきた。

インターネット上では、「ロシア保安局(FSB)(KGBの後継組織)」、ならびに「スペツナズ」の隊員の多くが親ワグネル派であることが確認されている。つまり、軍内、おそらくは「FSB」内でも権力闘争があった可能性があり、現在の軍指導部の交代だけでなく、プーチンに屈辱を与え、交代させることが真の目的だった可能性があるのだ。

6カ月前からプリゴジンは準備、ウクライナと内通

まず、作戦を開始するために、プリゴジンは過去6カ月以上前から準備していた。その中には、バフムトで戦うための十分な弾薬が手に入らないという、証明可能なほど虚偽の告発があった。それとともに、プリゴジンは、ロシア陸軍指導部は腐敗しており、バフムト作戦中に「ワグネル」の側面を守ることを拒否し、ウクライナ戦争で大敗していると告発した。これらの非難はどれも真実ではなかったことが証明されている。

そして、「ツイッター」「テレグラフ」「サブスタック」などで流れている未確認情報によれば、それ以上のことがあったようだ。

プリゴジンは、少なくとも昨年1月以来、「ウクライナ軍情報部」と連絡を取り合っていた。一部の情報筋によれば、プリゴジンはウクライナ情報部幹部と会談するために、「ワグネル」が活動するアフリカにも飛んだという。同様に、プリゴジンはロシア国内の多くの特殊部隊にも連絡し、自分に加わるよう求めていたという情報もある。

プリゴジンがウクライナの情報機関に伝えたとされる情報には、プリゴジンの最終目標が含まれていた可能性がある。報道では、これも確たる証拠はないが、プリゴジンはウクライナに対して、ロシアの主要な司令部がどこにあるのかを明らかにすると約束し、ウクライナを利用して彼らを壊滅させることを狙ったとも言われている。

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