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ついに日銀が長期金利上昇を容認、景気後退は来るか?いま長期投資家が注意すべきこと=栫井駿介

強い個人消費

製造業を中心に景気が悪いとは言われていますが、アメリカの景気指標は実は好調になっています。

それを支えているのが雇用の状況であったりします。

失業率は過去最低水準で、雇用者数も増えています。

※参考:米GDP、2.4%増に予想外の加速-個人消費が想定ほど減速せず – Bloomberg(2023年7月27日配信)

これが多くのエコノミストが予想できなかったことですが、アメリカの個人の消費が強いということです。

アメリカはGDPの7割は個人消費に支えられているので、個人消費が強い限り景気も強いです。

ではなぜ個人消費が強いのかというと、中流層以下の人々がコロナ禍で職を失ったものの給付金や失業保険などで生活し、今では人手不足となり賃金が上がったので、労働者が豊かになっているからだと想像できます。

アメリカのインフレの要因の1つにもこの賃金の上昇がありました。

逆イールドは起こっているものの、この状況なら景気はソフトランディングするのではないかという予想が大勢を占めています。

だからこそ日本株も上昇してきましたし、米国株も7月27日まで13連騰となっていました。

やはり景気は循環する。今こそ気を引き締めるべき

本当に景気はソフトランディングするのでしょうか。

これまで示してきた失業率や個人消費は、実際に景気が動いた後に表れる“遅行指標”です。

企業の決算が出て、それが悪いということになるとリストラなどが起きて失業率が上がり、個人消費が減ってくるということになり、そこに数か月から1年ほどのラグが生じます。

製造業の指数はどちらかというと“先行指標”で、今そこが悪いので楽観はできません。

いずれ製造業からのお金が流れなくなるのではないかという懸念があります。

また、中国の状況が良くありません。

コロナ明けに個人消費が回復すると思われていましたが、それがあまり回復しませんでした。

中国では今不動産価格が下落していて、不動産で潤ってきていた富裕層の財布の紐が締まってしまいました。

世界がインフレの中で中国は消費が少なく物価上昇率が0%とデフレに陥ってしまいました。

24歳までの若者の失業率が20%を超えているというのもかなり深刻な状況です。

現状は、今まで景気が悪くなると考えていた人たちが観念して立場を変えたことによって株価が押し上がっているという状況です。

しかし、実際のファンダメンタルズの数字は教科書通りに動いていて、先行指標は悪いです。

私はなお気を引き締めた方が良いのではないかと考えています。

少なくともダウ平均が13連騰していたような状況で無理に株を買う必要は無いと思います。

何か予想外のことが起こった時には反転することになるでしょう。

長期投資では業績を伸ばし続ける良い企業を買うということになりますが、やはり安い時に着々と拾っていくことが王道と言えるでしょう。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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image by:slyellow / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年7月31日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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