本当の自分と違うキャラでは長続きしない
鈴木:6時間って、三口ということですよね。ちなみに、一口っていくらぐらいですか?
本田:お店によるんですけど、最高級店だと10万くらいです。それが三口だと30万円ということになります。
鈴木:ということは、6時間一緒にいて30万を払うということになりますね。それは太客(お金を落としてくれる常連客のこと)であっても、毎週のように会おうとはならないですよね。
本田:ならないです。ならないし、それだとお姉さんの方も疲れますね。だから、自然体であるということが重要になるんです。
鈴木:お店の女性はみんな、そのあたりを実感しているんでしょうか?
本田:そうですね。高級店のお姉さんは、ほとんど自然体を最初の頃からお客さんに出してます。自分のわがままを聞いてくれるお客様が太くなってくれたほうが、あとあと楽なので。わがままな姿を最初から見せたりとか、自分の意見をはっきり言ったり、これは好きこれは嫌いってはっきり言ったりします。
鈴木:なるほど。自分が生き残るためには、最初から自分をはっきり出しておかないといけない、ということなのですねえ。
本田:作ったキャラだと、それで本人が疲れてもお客様が気に入ってくれて「じゃあまた予約するね、帰りに予約取っていくね」って言われたら、「ありがとうございます」って言うしかないんですよね。抜け出せなくなります。だから、キャラクターを作りすぎると、あとあと自分が痛い目に遭うので、自然体でいた方がいいんです。

撮影:紅子
どうやって見つけてもらえるような工夫をするのか?
鈴木:風俗という仕事はソープだけに限らず、いかにお客さんに来てもらうかが稼ぐうえで重要なことなのだと思います。どんなビジネスでも「集客」はとても大切になってきますが、そのあたりについて教えてください。
本田:昔は風俗の雑誌があったんですけど、今はあれがオンラインになってて、そこで自分の情報を載せていけるんですね。これがすごく重要で、うまく気になる日記を書いて見つけてもらえるようにします。
鈴木:いわゆる『風俗総合サイト』ですね。
本田:はい。そこで見つけてもらえるような工夫をするっていうのは、絶対的に必要になってきています。それが写メ日記の写真に統一性を持たせるとか、あとまわりの人が背景色がみんな画素数の荒い肌色とかオレンジ基調の写真ばっか載せて撮っているんだったら、差別化を図るために自分の写真はブルーの背景にちょっと画素数の高い、くっきりと際立ったポートレート写真みたいなのを載せるとか。そうすると、目立つじゃないですか。
鈴木:漫然と撮るだけでなく、差別化をしっかり考えないといけないということなのですね。本田さんは、最初からそんなことを考えてやっておられたんですか?
本田:はい、差別化は最初の頃からやっています。ただ私、前職は映像やデザインをやっていたんですね。仕事なら最初に仕様を確認するじゃないですか。画素数、サイズ、画像サイズいくつだったら、これはどう表示されるとか。使用感とか。ユーザーはどこを見てどこをクリックしやすいか。そこまではやってませんでした。
鈴木:なるほど。
本田:でも、日記について講習をしている講師の方がいて、その方が「画像サイズ気にしたことありますか?」って聞くんですよね。それで、仕事みたいにやりたくなかったので、意識してなかったですって言ったら「意識してください」って言われて……。やっぱりそこはどんな仕事でも一緒なんだなって思いました。
鈴木:写真については、肌の露出の高いほうが良いのですか?