バフェット投資の“本質”
しかし、だからといってバフェットの投資家としての実力が否定されるわけではありません。
確かに言えるのは、バフェットは株式投資で一時は世界1位になるような資産を築き上げたということです。
ただ、『バフェット=長期保有』ということはなく、実は多くの売買を繰り返していることがデータに表れています。
バフェットが言う、「持ち続けるべき」というのは、コカ・コーラやAppleといった大きく成功したケースのことを言っているのであって、そこに合致しなかった多くの銘柄が存在していたのだと思われます。
バフェットは1994年からの集計期間において、199銘柄に投資しましたが、実は150銘柄はすでに売却しているということです。
バフェットの細かい動きに注目することにあまり意味は無く、勝ったり負けたりを繰り返しているものの、ごく一部の大勝ちしている銘柄のおかげでトータルで大きくプラスになっているということです。
直近で言うと、ポートフォリオの50%以上をAppleが占めていて、この功績が非常に大きいのです。
バフェット自身もアニュアルレポートで、大半は箸にも棒にも掛からないものだが少ない大成功を収めたことによってポートフォリオが大きくなったということを言っています。

つまり、大部分の時間は”様子見”ということです。
バフェットは毎回毎回勝負をかけているわけではなく、上手くいく勝負というものは5年に1回くらいのもので、それ以外の時はのらりくらりやっていると捉えておいて良いのではないかと思います。
勝ち筋が見えない時にはとにかく痛手を負わないようにしておいて、いざチャンスが来た時には勝負をかけて勝つということがバフェットの投資の真髄であり、この「バフェット解剖」の本からの教訓なのではないかと思います。
また、バークシャーにおいては、現金で必ずしも株を買う必要は無く、買収という選択肢もありますが、私たち一般の投資家にはその選択肢はありません。
したがって、バークシャーの普段の動きを追うことにあまり意味は無いといえます。
むしろ、アニュアルレポートの中の「株主への手紙」などから、バフェットの普遍的な考えを学ぶことが大事だと考えています。
投資上達のアドバイス
私から投資初心者の方に向けるアドバイスとしてはこのようなものになります。
- バフェットは気にするな
- まずは「やってみる」
- リスクを抑えながら、少しずつ金額を増やす
- ここぞというところで勝負に出る
有名な投資家であるジョージ・ソロスの言葉に「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」というものがあります。
まずは死なないようにしながら様子を見て勉強し、大きく出るべきところで出る、そうしていけばあなたもデキる投資家として成長していけると思います。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2023年11月15日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。