政府も民間も債務だらけ
これまで急成長を謳歌してきた中国経済はまた、政府から民間に至るまで過剰な債務を抱えている。
2024年に満期を迎える社債は前年比2割増の6兆8,000億元(約140兆円)と、過去最高を更新する。24年の償還額は10年前の7倍で、10年で約2倍のGDPを増加率で大きく上回る。
償還額は26年までの3年間では20兆元(400兆円以上)に達する。償還額を押し上げるのは社債発行残高の3割以上を占める融資平台だ。地方政府の「別動隊」として資金調達を担い、高速道路や地下鉄といったインフラの整備を支えてきたが、融資平台の破綻も見られるようになった。
中国と日本の景気に「逆転現象」も
そこで、景気においてすでに日中の逆転が起きているとの見方も出てきている。ダイヤモンドの記事から一部分を引用する。
上海に着いて、公私問わず、久しぶりにいろいろな友人知人に会ったが、皆一様に「景気が悪い」と嘆く。「たくさんのお店が閉まった」「外国人が少なくなった」「活気がなくなった」「不動産が売れなくなった」「若者が仕事を見つけられなくなった」「失業者が増えた」「皆、お金を使わなくなった」……等々。誰の口からも、こんな言葉ばかりが出てくるのだ。
訪問先では「どうやったら日本のワーキングビザを取れる?」「日本の不動産を購入するのには、どんな条件が必要?」などと聞かれることが多くなってきたという。「『なんだ、結局日本に来たいのか』と思った」と余さんは話す。
今の中国と日本の逆転現象は、果たして本物なのか。そして、いつまで続くのか……両国の未来は、誰にも予測できないのではないかと思う。
出典:中国と日本の経済は「逆転」した?3年ぶりに上海を訪れた私が見た“驚きの光景” – ダイヤモンド・オンライン(2024年1月26日配信)
「誰にも予測できないのではないか」とは言うが、私は「中国と日本の逆転現象は本物」だと思っている。中国経済が元の活況に戻る可能性はかなり低いのではないか?
理由は、中国が政府による一極主導の経済だからだ。
勢いのある中国経済はもう戻らない?
これまでの中国経済の成長は、「豊かになる」ことを目指した鄧小平の国家戦略から始まっている。
それを米国が後押しし、利用した。中国経済が世界の2大パワーとなった今も、中国は新興国枠に留まることができ、途上国ならではの様々な恩恵が得られている。
一極主導は反対勢力や多様化の「無駄」がないので強い。しかし、その強さが過剰を産み、国内の貧富格差や産業格差を広げてしまう。また、汚職なども蔓延ることになる。
システムに無駄や「遊び」があるのは、必ずしも悪いことではないのだ。例えば、日本政府も日本経済を主導し、米国や他国の宗教の影響まで受けて、数々の間違いを犯しているが、日本経済に与える悪影響はそれでも限定的だ。なぜなら、日本のシステムには無駄や遊びが多く、権力の一極集中が見られないからだ。実例の1つが、現在問題となっている政府与党の裏金汚職の規模だ。この金額は逆に日本がいかに民主的で、権力が分散されている国なのかを象徴している。