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米国経済は本当に好調なのか?日本では報道されない不吉な指標。2024年に不況入りとの予測も=高島康司

ホームレスの急増

こうした状況を見ると、米経済が順調に見えるのはうわべだけで、実態経済は徐々に不況に入る兆候が出ているのではないかという印象を持つ。

そうしたなか、筆者の現地の友人たちも証言しているのが、ホームレスの急増である。

「ハーバード大学住宅研究共同センター」が1月25日に発表した報告書によると、2023年1月にホームレスを経験したと報告した人はおよそ65万3,000人で、前年同時期からおよそ12%、2015年からは48%増加した。ハーバード大学の研究者によると、これは過去最大のホームレス人口の増加である。

カリフォルニア州やワシントン州などで長い間問題となってきたホームレス問題は、米国内の歴史的に物価の安い地域でも増加している。アリゾナ州、オハイオ州、テネシー州、テキサス州では、地域の住宅費の上昇により、保護されない人口が最も増加している。テント村は大都市にキノコのように出現し、無数のアメリカ人が車やRV車で生活している。

ホームレスが急増している主な理由のひとつは、家賃がかつてないほど高騰していることだ。アメリカの家賃は2001年以来、着実に上昇している。ハーバード大学の研究者たちは、国勢調査と不動産のデータを分析した結果、2022年には米国の全世帯の半数が月給の30%から50%を住宅に費やしていることを発見した。その年、家賃と光熱費に月給の半分以上を費やしている、深刻なコスト負担状態にある入居者は1,200万人に上り、パンデミック前の水準から14%増加した。

年収4万5,000ドルから7万4,999ドルの世帯が家賃上昇の打撃を最も大きく受け、平均で給与の41%が家賃と光熱費に費やされた、と「住宅研究共同センター」は述べている。

2024年に不況入りする予測

これはまさに、リアルタイムで進行している状況だ。筆者の友人たちが現地で日常的に感じている肌感覚と一致している。

おそらくバイデン政権は、劣勢な選挙になんとしてでも勝つために、経済のよさを実態以上にアピールしようとしているのではないかと疑われても仕方がない。やはり、ソフトランディングではなく、2024年は不況入りを予測するエコノミストも多くなっている。

その一人は、「アポロ・グローバル・マネジメント」のチーフ・エコノミスト、トーステン・スロックだ。最近彼は「ブルームバーグ」のインタビューで、「心配なのは、ソフトランディングに至らないリスクが高まっていることだ」と語った。そして、「ハードランディングするか、ランディングしないかのどちらかになる可能性が50%以上になったと思います。言い換えれば、脆弱なソフトランディングは、今やほとんどありえないシナリオなのです」という。

スロックが、以前は米経済のソフトランディングを強く主張していたことは注目に値する。しかし、新しい経済データが続々と発表されるにつれ、スロックは考えを変えた。

Next: 米国は2024年に不況に入る可能性が高い?投資家は要警戒…

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