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モスクワ銃乱射の首謀者はウクライナなのか?日本では報道されない事実とテロの目的=高島康司

<実行犯はイスラム原理主義者とは思えない>

まず、イスラム原理主義勢力の通常のテロとは思えない点がある。4人の実行犯だが、彼らは明らかに傭兵だった。「ISKP」のようなイスラム原理主義のテロであれば、実行犯は自爆することが通例だ。イスラム原理主義者は「ジハード(聖戦)」としてテロを実行するので、殉教することを目的にしている。そのため犯行現場からの逃走は計画されていない。

ところが、ロシア当局の取り調べで、4人のタジキスタン人の実行犯は、1人当たり50万ルーブルの報酬を得ることになっていた。さらに彼らは、犯行現場から逃げ出し、国境を越えてウクライナに入ろうとした。これは、「殉教」を求めて常に自爆攻撃を行う「IS」の過激派には予想できないことである。

さらに、テロリストたちは「ブリャンスク」の国境を通ってウクライナに逃げようとした。この地域はロシア軍によって厳重に守られており、地雷原が多く存在する。最近のウクライナの国境侵攻の際にも、「ブリャンスク」を経由してウクライナの陸路侵攻が試みられたことはなく、この地域を横断することがいかに難しいかを物語っている。この地域から脱出するために、実行犯はウクライナの諜報機関から確実な支援を受け、ロシアの防衛網をかいくぐり、地雷原から脱出する方法について正確なデータを得る必要がある。

また、脱出用に用意された車は、白い車体にルーフが黒という目立つ車体だった。テロ犯がこうした目立つ車で逃走するとはちょっと考えにくい。

<ビクトリア・ヌーランドの発言>

最近、アメリカのネオコンの代表的な人物であり、2014年のウクライナの「マイダン革命」を仕掛けたビクトリア・ヌーランドが国務次官を事実上更迭された。更迭前の1月31日、ヌーランドはキエフを訪問し、帰国を前に次のように発言した。

「私は今夜、2024年についての団結と決意、そしてウクライナにとっての絶対的な戦略的重要性について、より勇気づけられながらキエフを後にしたと言わなければならない。 また、ウクライナが防衛を強化しても、プーチン氏は戦場で素晴らしいサプライズに直面するろうし、ウクライナは今年、非常に強力な成功を収めるだろうとの確信も深まった」

この発言を見て分かるが、「プーチン氏は戦場で素晴らしいサプライズに直面するろう」はテロの発生を予告しているようにも聞こえる。ウクライナ戦争を画策し、ロシアの弱体化を工作してきた悪名高いヌーランドの発言なので、彼女がモスクワのテロの発生を事前に知る立場にあったか、ないしはテロを実際に画策した可能性が疑われている。

<米大使館の警告>

ウクライナや欧米の関与を示唆する情報はこれだけではない。事前にモスクワの米大使館がテロの警告を出していた。3月7日の警告である。

「米大使館は、過激派がモスクワでコンサートを含む大規模な集まりを標的にする計画が差し迫っているとの報道を注視しており、米国市民は今後48時間、大規模な集まりを避けるよう助言されたい」

警告は事前に米大使館から出ていたことに関して、22日、ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は記者会見で、「今回の攻撃について事前に情報を把握していたとは私は認識していない。大使館の呼びかけは今回の特定の攻撃とは関連していない」と述べた。

これは大変に興味深い警告である。今回のテロの4人の実行犯は、SNSの暗号化された「テレグラム」のチャンネルで相互に交信していた。このチャンネルにロシア当局がアクセスすると、実行犯はテロの標的になった「クロックス・シティホール」を事前に下見する動画がアップされていた。これは米大使館は警告した日である。

ロシア当局の情報では、テロの実行日はもともと3月8日だったとのことだ。実行されれば、米大使館の「48時間」の警告とぴったり一致する。しかしこの日、「クロックス・シティホール」のオーナーの一行が厳重な警備を伴い同ホールを訪問したため、襲撃は延期になった。これが事実であるなら、米大使館に情報を与えたと思われるCIAは、相当正確にテロの実行日まで知っていたことになる。このテロにCIAも絡んでいたとするなら、情報を知っていてもなんら不思議ではない。

カービー大統領補佐官はこの情報をロシアにも伝えたとしているが、ロシアのアントノフ駐米大使は事前通知やメッセージはアメリカからは一切受け取っていないと言っている。

Next: ウクライナの関与を示す具体的な証拠も?真相は…

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