NTT法は廃止されるか?
NTTとしてはこのNTT法を廃止を求めています。
NTTは実は今33%の株式を財務大臣が持っています。
これもNTT法によって定められているものですが、NTT法が無くなればこの33%の株式も売却される可能性が出てきます。
逆に言うと国が株主である以上、NTT法のような縛りが無ければ、NTTだけ国に守られている状態となり、競争環境として不平等になるので、NTT法の廃止と国の保有する株式の売却は表裏一体の面があります。
NTT法の廃止に反対する声として、NTTを外資に売り渡すのかというものがありますが、私は決してそうはならないと思います。
仮に33%の株式が売却されたとしても、そのすべてを外資が買うというわけではありませんし、さらに言えば、外国人がNTTの株を20%以上保有しようとした時には「外為法」によって株の購入を制限することができます。
NTT法が廃止されることによってNTTの経営が外国人に乗っ取られる可能性はほぼ0と言えると思います。
NTTの経営者としては、このユニバーサルサービスに縛られている限り、コストもかさみますし、IOWN構想を進めるにあたり、国がいると外国の企業と提携しづらい部分も出てくるので、NTT法の廃止は経営者の悲願でもあります。
直近の国会でNTT法は改正されていて、3分の1未満までは外国人の役員を認めるということになりました。
また、これまではNTTの中で研究したものを外部に開示しなければならないという不利な義務を負っていたのですが、今回の改正でこれが無くなりましたが、ここからさらに踏み込んで改正を行うことでNTTは世界へ羽ばたこうとしています。
この更なる改正を2025年にも行いたいという話が自民党の中でもあがっています。
NTT法があることによって自由な経営ができないという現状があり、NTT法廃止の議論が現実味を帯びてきた時には、NTTにとって基本的にプラスの要素となります。
もちろん、ユニバーサルサービスは特に地方にとって重要で、そこをどのように担保するのかという議論も起こるでしょうが、NTTとしては今のままのコストをかけた形ではやりたくないので、赤字が膨らんでいくということをアピールしているようにも感じます。
8兆円の投資・IOWN構想よりも、NTT法の廃止の方が、NTTの株価にとってより確実なプラス要因になると私は考えています。
バリュエーション
最後に株価のバリュエーションですが、PER11.7倍、利回り2.86%と割安感がある数字だと思います。
もちろん、PBRが1.59倍となっていて特に安いというわけではありませんが、今後も自己株式取得を行っていくと考えられるので、大きな成長を期待する銘柄ではないですが、長期的な伸びは依然として期待できる銘柄かと思います。
一方でリスクは常に変動しているということも忘れずに投資に取り組んでいきましょう。
バフェットも「最もリスクが高いのは自分が何をしているのか分からない時だ」と言っています。
自分がどんな企業に投資しているのかを常に理解して、今どういう状況で動いているのかしっかり認識して投資することがうまくいく投資のための最終的な近道であると考えます。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年4月22日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。