中国の人気玩具メーカー「ポップマート」の戦略
ポップマート( https://www.popmart.co.jp/)は、盲盒(マンフー、ブラインドボックス)で大成功した大人玩具のメーカーです。Mollyシリーズというフィギュアを発売する時にただ発売するのではなく、箱を開けてみるまでどれが入っているかわからないというブラインドボックスでコレクション心をくすぐり大成功をしました。中国では誰でも知っている企業で、アジア圏でも人気が出てきています。
このポップマートも原宿に店舗を出しています。さまざまなフィギュアが展示され、ちょっとしたフィギュア博物館のようになっていて、ポップマートというブランドを知らない人、ポップマートが中国企業であることを知らない人も、中に入ってフィギュアを見ていきます。
在留中国人だけでなく、日本人もターゲットにして店頭販売をしています。そして、ポップマートにはもうひとつ大きな狙いがあります。それは日本へのインバウンド旅行客です。
「令和4年国・地域別外国人旅行者行動特性調査」(東京都産業労働局)では、東京を訪れたインバウンド旅行客に東京のどこを訪れたかを尋ねています。
これによると、渋谷、新宿、銀座などの繁華街、観光地として人気のある浅草の次に秋葉原や原宿という特徴のある街がランクインしています。国別のデータもあるため、インバウンド旅行客を100として、国別の指数も計算してみました。数値が大きいほど原宿にきている人が多いということになります。
すると、インドネシア、タイ、フランス、香港、台湾という中国と関わりのある国のインバウンド旅行客が原宿にきているのです。東南アジアで中国製品と関わりがない国はありません。また、フランスは欧州の中で中国文化との親和性が高い国です。このような国の人が原宿に遊びにきて、ポップマートに寄ってくれることが期待できます。
しかも、ポップマートはD2Cでも販売をしていますし、世界各国のECにも出品をしています。日本旅行をする間にポップマートの店舗に寄れば、帰国後そのような母国のECを通じてポップマート製品を買ってくれる可能性があるわけです。ポップマートが、ポップカルチャーの発信地である原宿に店舗を持つということは、特にアジア圏に対するブランド構築で大きな意味を持っています。
電機メーカー「Anker」は原宿をどう使う?
「Anker」(アンカー)は、もはや日本ではデジタル製品をよく買う人の間では定着したと言っていいブランドです。当初は中国企業であることから、SNSでは「怖くて使いたくない」「爆発する」など散々な言われようでしたが、低価格であり品質が高いことから短期間に信頼されるブランドになっていきました。特に保証ポリシーが素晴らしかったことが――
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- vol.238:中国チェーンはなぜ原宿に出店をしたがるのか。原宿に出店する4社で異なる海外戦略(7/22)
- vol.237:Soraを超えたビデオ生成AI「Kling」(クリング)。その6つの優れた特長(7/15)
- vol.236:BYDは日本市場で地位を確保できるのか。BYDの本当の黒船「DM-i」技術とは(7/8)
- vol.235:中国で人気爆発のサイゼリヤ。「安さ」だけではない、サイゼリヤの飲食版SPA(7/1)
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
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』(2024年7月22日号)より一部抜粋
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