パリ五輪が盛り上がっていますが、ロシアはウクライナ戦争を理由に疎外されています。ロシア国内では、オリンピックに関する中継も報道も一切ありません。それどころか、プーチン大統領はオリンピックに代わる新たな「国際友好スポーツ大会」を9月15日からモスクワとエカテリンブルグで開催すると宣言しています。(「 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 」浜田和幸)
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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
「平和の祭典」はどこへ?
「スポーツを通じて世界の平和を目指す」というオリンピックの理想は絵に描いた餅になっています。
日本選手の「メダルラッシュ」と言えるような活躍が素晴らしいことはさておき、以前から比べると、今や商業主義に成り下がってしまったオリンピックは、その本来の姿とは大きくかけ離れてしまったようです。
開会式をセーヌ川で挙行したのは目新しさを演出したのでしょうが、例えば、韓国選手団の紹介をした際にはフランス語と英語で「朝鮮民主主義人民共和国」とアナウンスしてしまいました。
これは北朝鮮の正式な国名です。
北朝鮮からは16人のアスリートしか参加しておらず、143人を派遣した韓国とは大違い。
当然でしょうが、韓国政府は猛反発し、国際オリンピック委員会とフランス政府に抗議し、謝罪を求めることになり、バッハ会長も大慌てで緊急謝罪会見を行い、韓国のユン大統領に電話を入れた模様です。
疎外されたロシア
いずれにせよ、なにやら奇抜な演出で多様性を強調したパリ五輪の開会式でしたが、200か国ほどの参加国が集っていながら、ロシアの選手団は開会式への参加が認められませんでした。
ウクライナ戦争が理由とのこと。
とはいえ、ウクライナやイスラエルの選手団は参加が認められていたにもかかわらず、ロシアは排除されてしまったのです。
ロシアからは15人の選手が「中立国」という条件で参加が認められていますが、例えメダルを獲得しても国旗の掲揚も国歌の演奏も認められません。
これでは「平和の祭典」が「対立を煽る集まり」になってしまうでしょう。
国連ではオリンピック期間中の休戦提案を採択しましたが、イスラエルによるガザ地区への空爆は収まっていません。
あまり表には出ませんが、セーヌ川の汚染と同じように、五輪にも国際政治の汚染がはびこっているようです。
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