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日経平均“歴史的暴落”は人災。日銀の利上げが発端となった「テクニカルクラッシュ」だ=脇田栄一

日経平均は8月5日、ブラックマンデー当時を超える過去最大の下げ幅4,451円安を記録したあと、翌日には急反発してまたまた過去最大の上げ幅3,217円となった。先の大暴落について、正しく原因を解説している新聞やアナリストは少ない。今回の「テクニカルクラッシュ」とも言える暴落に至った元凶を解説したい。(※本文執筆時点8月5日:脇田栄一)

プロフィール:脇田栄一(わきた えいいち)
FRBウォッチャー、レポートストラテジスト。1973年生、福岡県出身。個人投資家を経て東京都内の大手株式ファンドでトレードを指南。本来は企業業績を中心とした分析を行っていたが、08年のリーマンショックを経験し、マクロ経済、先進国中央銀行の金融政策の影響力を痛感。その後、FRBやECBの金融政策を先読み・分析し、マーケット情報をレポートで提供するといった業態を確立。2011年にeリサーチ&コンサルティング(現eリサーチ&インベストメント)を起業。顧客は機関、個人投資家、輸出入企業と幅広い。ブログ:ニューノーマルの理(ことわり)

「狼狽売り」との説明は理解不十分。日銀の失策であり「円キャリーの巻き戻し」だ

狼狽売りやらパニック売りとしか形容できない媒体が多いみたい。そら信用が圧縮されたら連鎖の波で売らざるを得ないでしょ。

今回の背景はハッキリしていて、前回お伝えしたように円キャリーの巻き戻しなんですよね。日銀会合から米株の急落まで時系列を見れば明らか。利上げは大失敗どころかマーケットを破壊し、ひいては経済にひび割れをもたらした。だから懸念していた。

※参考(筆者ブログ):「植田ショックというフリーフォール」 日銀は歴史的大惨事に対して無視を決め込むことはできない – ニューノーマルの理(2024年8月5日配信)

一般の方はメンドイ話になると避けて通るけど、金融危機やコロナのようなパンデミックとは違うケース。「今までこのようなことは何度もあった」なんて雑な話も聞いたけど理解不十分だし今までとは違うわけです。

利上げが発端となった「テクニカルクラッシュ」だ

すなわち、背景がリーマンやユーロ危機、コロナのようなクラッシュでなく、日銀利上げによる円キャリーの巻き戻し(リスクオフ)といったある意味「テクニカルなクラッシュ」になるので、ボラは高いが時間軸は短くなる。少なくとも、理論的には。

つまり、今までの金融危機やコロナなどのショックとは違い、低金利通貨(円)が利上げされたことによって、それを活用していた海外の機関が借り入れていた円を返済するために、リスク資産のポジション解消とともに円の買戻しが発生した……という流れである。

下げ幅は膨大でセーリングクライマックスまでは短く、次のステージが乱高下。それを基本シナリオに見据えて戦略を練っているのであれば、次につながるのかも。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

しかし、矛盾するようだが、今回は大統領選前に金利を引き下げたいという米民主党の思惑がマクロに反映されているように感じなくもない(ここが本気にメンドイところ)。

自分とて整理できていない箇所があるので五輪でも見て落ち着くかな。誤審の量産で余計に落ち着かないかもしれないが。

image by:Muhammad Alimaki / Shutterstock.com

本記事は脇田栄一氏のブログ「ニューノーマルの理(ことわり)」からの提供記事です。
※タイトル・リード・見出しはMONEY VOICE編集部による

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