農業政策を見直すべき
真剣に考えなければならないのが農業政策の問題です。
国内でコメを生産する農家は高齢化が進んでいるうえに、後継者がいないという問題を抱えています。
「コメで稼げるなら、コメ農家は自分の家で継がせます。若い人がやる農業は、儲かる野菜です。いま稲作をしている人が大幅に少なくなるのは間違いなく、その後を誰にやってもらうかです(農林中金総合研究所)」
コメの生産には水が必要なほか、手間がかかり、コストが高くつきます。
コメ生産と野菜生産ではどれほどの違いがあるのか?
田んぼには水利の設備が必要になり、水漏れを防ぐ土手づくりや田んぼの底固めのほか、栽培中に水量の管理もしないといけません。田んぼへの対応だけでなく、苗づくりや田植えの作業もあります。
一方、野菜はあまり土地を使わないらしく、限られた土地に種をまき、水やりなどをすればいいのだそうです。
まあこれだけの話を聞くと、農業に関心のある若者は野菜作りを選びたがることでしょう…。
世界と日本の農業のあり方も大きく異なります。
米国や豪州などは広大な土地に大型機械や飛行機なども導入して、人の手間がかからない農業をしており、安く生産している感じです。
一方、日本の農業は山の斜面の「棚田」や「段々畑」で狭くて細切れの農地を寄せ集めて利用するイメージですよね。
完全に経営効率のうえで日本は世界に劣っていると言えそうで、世界との競争力に大きな差が生じそうです。
「補助金頼み」の日本の農家
農家の経営面積は、日本が平均して2~3haに対し、欧州は20~30ha、米国が200~300ha、豪州の小麦栽培では数千haもあるというのです。
日本の小規模農家は「補助金頼み」が現状です。
コメは日本が主要な食料で唯一、自給してきました。今後はコメを自給できなくなるかもしれません。食料安全保障上、大問題です。
コメの需要は人口減少や食の多様化などで低迷し、田んぼがあっても儲からず、耕作する人がいないのが現状です。
日本では、農地が足りないのに、田んぼは余っているという、奇妙な状況になっているそうです。ひとたび異常気象に見舞われたら、私たちの主食のコメが食べられなくなるのです。
※参考:コメ不足で値上げ&店頭では購入制限も!’30年代には最悪なシナリオも…「米が自給できなくなる日」- FRIDAYデジタル(2024年8月9日配信)
補助金頼みの今の農業のあり方。
主食の値段を上げることが国民福祉に逆行するという抵抗。
・企業が農業に参入するということ
・世界での競争に勝ち抜くということ
・コメの安定供給を保つということ
・コメを安価で提供するということ
これらと「今の農家を守る」こととの整合性。また、コメの“輸入”への抵抗、コメ不足のときの外国米への抵抗……真剣に、日本の農業のあり方を考え直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
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