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株価急落「半導体株」いま売るべき?保有するべき?PERが高くても投資する価値がある企業の見極め方=栫井駿介

良い企業は売る必要なし

栫井:企業によって濃淡はあるとしても、今回のテーマである「売るべきかどうか」というということを考えると、特に長期的な観点では売る必要はないんだろうなというところですね。

元村:そうですね。

栫井:片や、半導体だからといってそんなに良くないものも含まれている可能性があるということもありそうですね。

元村:そこが無ければ半導体は製造できないような技術や装置を持っている会社は強いですが、替えが効く会社だとやはり脆いですね。汎用品なんかは景況感に左右されますし、時にはもっと大きい海外企業がコストの優位性を発揮してそのあおりを受ける場面も出てくるでしょう。

栫井:最先端をやっているのか汎用品をやっているのかというのはどこを見て判断すれば良いのでしょうか。

元村:もちろん有価証券報告書を読み込むということもありますが、ここ最近で生成AIの特需を受けている会社は、急に業績が跳ねたのはなぜか?と調べていくと実は生成AI関連でここが作っている材料の使用量が爆増する、他に替えが効く会社はない、ということが見えてきたら面白いです。

※参考:半導体、4〜6月に需要好転へ AIやEVがけん引 – 日本経済新聞(2024年1月4日配信)

元村:例えば「生成AI向けデータセンター」にはGAFAMを筆頭にものすごく投資しているところですが、データセンターに搭載するためにはAI半導体が必要であったり、そのAI半導体の中にまた特殊なメモリーであったりGPUであったりが組み込まれているわけです。こういう画像処理を得意とするような先端半導体を手掛けられる会社は実はそれほど多くないです。このあたりの恩恵を受けている会社は、おそらく生成AIのトレンドが急に萎んだりするようなことはそう考えられないので、今後も恩恵を受け続けるのではないかと思います。

栫井:逆に上の図の種類別で言うところの「パワー」「アナログ」、用途別で言うところの「自動車」みたいなところは、生成AIの恩恵を受けた業績の強さをそれほど見込めるわけではないということですね。

元村:そうですね、なのでそういったところは日本企業の場合は私は避けるかなというところです。

 

栫井:半導体って、どんなに良い企業でもシリコンサイクルや株価の変動から逃れられないわけですよね。だとしたら、わざわざ半導体に投資するなら、将来伸びるかどうかいまいち分からない汎用品のところに投資するのではなくて、PER的には高くてもピカピカのところに投資していた方がおそらく精神的にも良いですよね。伸びた時にはすごいことになると。

元村:やはりそういう芽のある会社を探すことが一番だと思います。

栫井:これは投資家にとってトラップだと思うんですけど、PERの低さで選ぶと逆になってしまう可能性がありますね。

元村:そうですね。

栫井:良い企業はPERが高くなってしまうわけですが、それでもこの波を乗り越えてやがて大きくなっていくことができれば良いわけですから、まさに生成AIについていけているかどうかが大きな肝になりそうですね。

元村:高値掴みさえしなければそういう会社は安心して持っていられますね。

栫井:もっと言うなら、こういう会社は本当に業績が伸びるので、高値掴みしても何年後かにはそれを超えていたりしますよね。

元村:そうですね、複利的に伸びていくような要素は満載なのでその可能性もあります。

栫井:高値掴みしてしまって、安くなったらそこで諦めるのではなくてそこでまた買えば単価は下げられるので、そこから伸びた時の資産増加額は増やせますね。逆にあんまり伸びない企業を高値掴みすると戻ってこないですよね。

元村:手の施しようがなくなりますね。

栫井:そこが長期投資といわゆる株価を見て投資するのとの違いですね。

元村:私としては、数字的なところと、やはりその会社を信じて持ち続けられるかを判断するためにも会社を良く見てほしいと思います。じゃないと落ちた時に買い増すということもできませんし、ネットの情報なんかで気持ちが揺らいで逆に手放してしまうということにもなりかねないので、やはり自分なりの見解を持ったうえで投資してほしいと思います。

Next: 良い企業の半導体株は売るべき?積極的に買うべき?

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