大手外食チェーンの「すかいらーくホールディングス」が、九州を中心に展開するうどんチェーン「資さんうどん」の運営会社の株式を取得し、完全子会社にすると発表した。
報道によれば、買収にかかる金額は240億円で、10月上旬には投資ファンドのユニゾン・キャピタルからすべての株式を取得し、完全子会社とする方針。
資さんうどんは、九州エリアなどを中心におよそ70店舗あり、2023年からは関西にも出店。すかいらーくHDは、買収によって全国への出店を進めるとともに、九州に根ざしたチェーンをグループに取り込むことで、収益の拡大を図りたいとしているという。
ユニクロ出身社長のもとで積極的な出店攻勢に
1976年に福岡県北九州市にて大西章資氏が創業し、自らの名前から一文字を取って屋号にしたという資さんうどん。
福岡といえば、特に県外に住む人々からは“豚骨ラーメンがソウルフード”といったイメージを持たれがちだが、うどん文化もかなり古くから根付いており、同地には資さんうどん以外にも「ウエスト」や「牧のうどん」といったローカルうどんチェーンが存在し、それぞれが人気を博しているといった状況。
なかでも資さんうどんは、大西氏が創業期に2年がかりで開発したという、こだわりの出汁に魅了されるファンが多いということで、妻との二人三脚ながらも北九州市を中心に次第に店舗数を増やしていったという。
ところが2010年代に入ると、いわゆる後継者問題に直面することとなったようで、創業者である大西氏が2015年に亡くなった後、同社の株式は地元の福岡銀行等が出資するファンドを経て、2018年には過去にあきんどスシローなどの再生を手掛けたユニゾン・キャピタルに渡ることに。
その際に社長に就任したのが、直前までユニクロで辣腕を振るっていた佐藤崇史氏で、同社長のもとで資さんうどんは、福岡県の全域にくわえ九州地方の各県へと積極的な出店攻勢に出ることに。また九州地方以外にも、2023年には岡山市や大阪市にも進出したほか、翌2024年には兵庫県尼崎市にも出店を果たしている。
さらに、今年に入り大きな話題を呼んだのが、7月に都内・内神田にて出店したポップアップストアで、期間中は神田のオフィス街に大行列ができるほどの人気ぶりに。その後、両国に都内1号店が今冬オープンすることも発表され、ファンからは「北九のソウルフードが都内でいつでも食べられるようになる」と歓喜の声があがっていた。
福岡特有のうどんの柔らかさが全国展開のネックに?
このように、もともとは北九州のローカルチェーンに過ぎなかったものの、今では各地にそのファンが存在し、広く愛されている資さんうどん。
それが、外食業界のなかでも大手中の大手といったすかいらーくHDの子会社になるということで、資さんうどん側からは「すかいらーくグループの店舗網やサプライチェーンなどを活用し成長戦略の早期実行が図れる」とのコメントも出ており、出店攻勢がこれまで以上に勢いを増すことは必至といった情勢。
東京への進出も、先述の両国どころか他の様々な街に出店したり、また既存のすかいらーくグループの各業態が、やおら資さんうどんに変わるといったことも今後は考えられるだけに、ファンからすればまさに朗報といったところ……と思いきや、SNS上の反応をみると「味や雰囲気が変わるのでは…」と危惧する声など、意外にもネガティブな反応が多い様子。
これは悲報?朗報?
大好きな資さんうどん、どうか味が変わりませんように■すかいらーくHDが”資さんうどん”を買収 全株式を取得と発表(RKB毎日放送) https://t.co/THIT42yltD
— あかたちかこ (@akatachikako) September 6, 2024
すかいらーくが資さんうどん買収!!
お味はそのままで何卒…!— 宮島咲良=ぼっち戦隊ミヤジマンTHE MOVIE❤️ (@sakura1109m) September 6, 2024
すかいらーくが”資さんうどん”を買収 https://t.co/yeSTbkFmVp
マジか
ただでさえ最近店舗増えすぎて、店によって味にバラつきがあると思ってたのに #資さんうどん
— トラキチ先輩 (@torakichi5268) September 6, 2024
そうでなくとも、資さんうどんの熱心なファンからは、最近店舗が増えすぎたためか、店によって味にバラつきがあるように感じる……といった声も、一部ではあがっているということで、今後すかいらーく傘下で店舗網を急速に拡大していく過程で、そういった状況がさらに顕著になるのではと、心配する向きも結構多いようなのだ。
ただその反面で、昔からの資さんうどんの味わいを守っていくということになると、ある意味でネックになる可能性があるのが麺の問題。
マジで!!これから関東でも資さんうどんが食べられるの!?
そういやこの前東京にできるとかなんとか
福岡人のうどん好きは異常
24時間うどんチェーン店が空いてるんやから
24時間いつでもうどんを食す奴らでも他県の人たちにあの柔らかいうどんの麺を受け入れてもらえるのかな?…
— グリーゼ (@Dodoriash) September 6, 2024
資さんうどん、これをきっかけに全国展開したりするかなあ?
あの味が全国で味わえるなら嬉しいけど…あの麺の感じ、本州でもウケるどうかは気になったり
— やむろかせい (@yamurokasei) September 6, 2024
日本各地には様々なうどんが存在するなかで、福岡地方のうどんといえば麺が特に柔らかいのが大きな特徴といえるのだが、馴染みのある地元客ならともかく、そうでない人々に果たしてそれが受け入れられるのかを心配する声も、少なからずあがっているようである。
昔から資さんうどんを食べている当地のファンとしては、地元のソウルフードが全国へと羽ばたくことへの晴れがましい気持ちは当然あるものの、それによって生じるかもしれない変化に今からおののくという、なんとも複雑な心境を抱いているというのが正直なところのようだ。
Next: 「資さんうどんは野心を感じるけど…」