平時に財政・金融バランス改善が急務
東日本大震災やコロナ過に対応するために財政赤字が一時的に拡大するのはやむを得ません。問題はそれを「前例」にしてその後も毎年のように大型の補正予算を組んで財政収支をさらに悪化させてきたことです。
緊急時に思い切って使えるようにするには、平時に歳出を大幅カットしてバランスを回復し、次に動ける余力を作っておく必要があります。
コロナ禍前には補正規模は1兆から3兆円程度でしたが、コロナ禍が一段落した23年度にはまだ13.1兆円も、翌24年度には13.9兆円にさらに増やし、今年度は18.3兆円に上っています。平時にこそ財政余力を回復すべきですが、現実にはさらに余力がなくなるほど無理に財政を悪化させています。それだけの緊急事態があればともかく、平時にこの始末です。
維新が連立に加わり、イーロン・マスク流に無駄な歳出の整理をしようとしています。今こそとことん無駄な補助金などを整理し、伸びきったゴムを戻す努力が必要です。その際、国民の税金で賃上げをするような、法人向けの賃上げ減税は即刻廃止すべきで、悪の温床となった雇用調整助成金などの助成金や、使われていないファンドも整理の余地があります。
日銀もB/S修復が急務
日銀も慢性的に異次元の金融緩和を続けてきたため、バランスシートが痛んでいます。
一時600兆円近い国債を保有していたために、日銀の総資産は700兆円を超えていました。GDPを上回る資産を持つ中央銀行は世界でも日銀だけです。ETFの減額処分にも100年かかると言って批判されていますが、ここまでゴムが伸びきってしまうと、ここから新たに緩和の必要が出た時に日銀は対応できません。
次の経済危機に備えて、利下げができるよう、インフレの今こそ金利の正常化も急ぎ、膨れ上がった資産の縮小も急務です。次の大災害は日銀のバランス正常化が進むまで待ってくれません。
食料自給回復が急務
そして毎年のように世界で大規模な自然災害が発生している状況を見るにつけ、日本は食料自給率の引き上げが急務です。
この指摘はすでに広くなされていますが、政府は票につながらないためか、これに真剣に取り組んできませんでした。しかし、今年政府備蓄米をほとんど放出してしまったため、この補填を急がないと次に米不足となったときに対応できません。
すでに温暖化の影響で瀬戸内のカキが被害を受け、農産物も多くの被害が出ています。さらに熊やシカなどに農産物が荒らされている状況で食料の確保がこれまで以上に難しくなっています。鈴木農水相はまず農家の利益を優先していますが、日本の食料安全保障の確保が急務です。せめて食料自給率は欧州並みの7割を目指して毎年引き上げる目標を立ててはどうでしょうか。






