■JIG-SAW<3914>の成長戦略
1. 成長シナリオ
世界の産業用IoT市場は、AIの急速な進化もあって年率2ケタ以上の成長を続け、2033年には4.7兆ドルに達すると言われている(Straits Research「産業IoT市場サイズと展望 2025-2033」より)。また、IoTデバイス数もデジタルデータ量も、それに合わせて大きく拡大すると見られている。このような成長市場に属する同社だが、独自の基盤技術の強みを持つ既存事業に加え、プロジェクトなど新規事業が顕著な進捗を見せるなど、足元で成長のシーズが揃ってきた。このため、データコントロール事業の拡大、組み込みIoTソフトウェア「NEQTO」のライセンス提供、独自基盤技術やプロジェクトのビジネス化などを強化し、成長を加速させる方針だ。
具体的には、データコントロール事業では、AI投資の広がりを背景にインターネット・インフラ基盤やクラウドマーケットが拡大する流れに乗り、生成AIの徹底活用や全自動・無人化により既存事業を拡大させる。一方、独自基盤技術やプロジェクトのビジネス化では、「NEQTO」によるストック型ビジネスを拡大や生成AIを搭載した「NEQTO.ai」にフォーカスする他、自動運転やコンピュータビジョンの商用化によってグローバルな需要を取り込む方針である。既に成果が上がっており、米国では「NEQTO.ai」によるIoT-AIダッシュボードサービスを正式リリースし、自動運転ソフトウェアのライセンス供与も開始する。
利益率のさらなる向上に向けては、統合型の自動制御プラットフォームをローンチする一方、生成AIによるサービスの高付加価値化と社内業務の効率化を図る。特に社内業務の効率化では、自動化・無人化によってルーティン業務をなくし、マーケティングやセールス、提案・見積及び請求業務など社内プロセス全体をコントロールする。こうした施策により、売上面では、既存事業で年率2ケタ以上成長し、新規事業で成長をさらに押し上げる方針で、中長期的に指数関数的成長を図る考えである。利益面では、様々なアイデア・プロジェクトの実現に向けて先行投資が必要となるが、中期的には売上成長に合わせて利益水準を高めていくことになろう。
指数関数的成長に向けて先行投資を継続
2. 成長を支える投資
同社は、中長期的な指数関数的成長に向けて先行投資を継続する考えである。今後、数十倍に膨れ上がると言われる大量のIoTデータの自動制御では、AI専門エンジニアを擁する事業統括室の大幅増強、IoTデータハンドリング統合型自動制御システム「Orchestra」のバージョンアップのほか、「NEQTO.ai」などの独自基盤技術へ重点投資を行う。また、「NEQTO」を内蔵したハードウェアバンドル・ライセンスビジネスの開発を進める一方、セキュリティSaaSモデルでは機能追加のための研究開発を強化する。さらに、オペレーション体制の強化とBCP拠点としての活用を目的に、IoT-AIデータコントロールセンターへの大型投資を進める。
自動運転では、これまでの実証実験に対して多方面から高い評価を受け、主要ゼネコンの大半がプロジェクトに参画する状況となっており、同社ソフトウェアを搭載した建機の商用化が進んでいる。さらに、多種多様な建機の協調システムとの接続実験、建設発生土受入地整備における自動化・自律化運転の実証施工、自動化・自律化に向けた遠隔操縦支援の高度なシステムの開発・検証・実証本施工に向けて投資を継続する。「NEW.VISION」では、視覚再生医療向け研究開発投資を継続するほか、米国でのプロジェクトも開始した。その他、着実なキャッシュ・フロー創出力と強固な財務体質を背景に、多角的な視点から資本参加や資本提携・M&Aを積極的に検討している。なお、上場を目指すベンチャー系パートナー企業に対するアーリーステージ投資も行っており、上場などにより評価が大きく上昇した時点で売却することもあるようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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