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UBE:スペシャリティ化学企業への転換加速、配当利回り約4%で株価は割安

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UBE(ユービーイー)<4208>は1897年創業の化学メーカーで、基礎化学品から先端分野の高機能品まで幅広く展開している。東証プライム市場に上場しており、同社は「希望ある化学で、難題を打ち破る。」をパーパス(存在意義)に掲げ、創業以来培ってきた独自技術を成長の基盤としている。近年は、高付加価値なスペシャリティ化学企業への転換を加速しており、アンモニアやカプロラクタムといった汎用品事業の撤退・縮小を進めている。売上構成比は、化学事業が約8割、機械事業(100%連結子会社)が約2割となっている。

同社の最大の強みは、ポリイミド、分離膜、セラミックス(窒化珪素)、DMC(ジメチルカーボネート)などにおいて長年にわたり構築してきた独自の技術体系と、それを背景としたハイエンド分野での競争力にある。ポリイミドは、原料から中間原料(ワニス)、フィルムまで一貫生産体制を確立しており、ディスプレイ材料や半導体製造装置、自動車電動化向けの高耐熱材料として使用されている。また、分離膜は、自社ポリイミドから作られる中空糸膜を用い、近年では混合ガスから再生可能エネルギーであるバイオメタンを抽出する用途で成長が加速している。セラミックスはxEVモーター用ベアリング向けなどで採用が進み、世界トップクラスのシェアを確保している。DMCはリチウムイオン電池の電解液原料であり、供給メーカーはグローバルでも同社と中国企業などに限定される。米国では2027年3月期後半の稼働開始に向けて新工場建設を進めており、自動車の電動化進展に伴う需要拡大が期待される。さらに2025年4月にはウレタンシステムズ事業を取得し、既存事業とのシナジー創出を通じたグローバルでの収益拡大を図る計画である。

2025年3月期は、売上高4,868億円(前期比4.0%増)、営業利益180億円(同19.6%減)、経常利益224億円(同38.4%減)、当期純損失48億円(前期は290億円の利益)となった。売上高は、エラストマー(合成ゴム)の販売価格上昇、ナイロンポリマーやカプロラクタム・硫安などの販売回復により樹脂・化成品が増収を牽引した。一方、利益面では、アンモニア工場の定期修理実施やウレタンシステムズ事業取得に伴う費用などの影響で減益となった。さらに構造改革に伴う減損損失の計上により、最終赤字となった。

2026年3月期第3四半期では、売上高3,322億円(前年同期比7.6%減)、営業利益145億円(同52.0%増)、経常利益303億円(同133.9%増)、四半期純利益211億円(前年同期は191億円の赤字)となった。売上高は、ウレタンシステムズ事業取得による増収効果があったものの、樹脂・化成品での販売低迷や、機械における前年度の製鋼事業譲渡の影響により減収となった。利益面では、前期に計上した減損損失の反動による減価償却費の減少などが寄与し、大幅な増益となった。

2026年3月期通期では、売上高4,900億円(前期比0.7%増)、営業利益250億円(同38.5%増)、経常利益375億円(同67.6%増)、当期純利益275億円(前期は48億円の赤字)を予想している。売上高は、第4四半期における分離膜など機能品の販売回復や、機械事業の季節的な出荷集中を織り込み、前期並みの水準を確保する見通しである。利益面では、増益を見込み、固定費削減などの施策を通じて計画達成を目指す。

2031年3月期までの6ヶ年の中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation -2nd Stage-」では、最終年度に売上高5,500億円、営業利益600億円、ROE9%の達成を目標としている。成長投資として6年間で約4,600億円の設備投資・投融資(M&Aを含む)と850億円の研究開発費を計画している。M&Aを積極的に推進し、スペシャリティ事業の成長加速と技術競争力の強化を図る方針である。また、機械事業を担う子会社及びセメント関連事業を担う持分法適用関連会社の上場による自立化を進め、資本効率と財務健全性の両立を目指す。

株主還元については、安定的な配当の継続を基本方針とし、DOE(株主資本配当率)2.5%以上を設定している。2025年3月期は年間110円の配当を実施し、2026年3月期も同額の年間110円(配当性向38.8%)を予想している。成長投資とのバランスを取りつつ、業績変動の影響を受けにくい累進的な還元姿勢を明確にしている。構造改革の進展や環境リスクの低減、スペシャリティ事業の収益拡大が着実に実現すれば、足元の株価はPBR0.6倍水準で割安、且つ約4%の配当利回りは魅力的である。

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