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VIS Research Memo(2):AI創薬プラットフォームを基盤にmRNA標的創薬に取り組むバイオテック企業

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■会社概要

1. 会社概要
Veritas In Silico<130A>は、インシリコRNA構造解析技術をはじめ、複数のルールベースAIと創薬技術を統合した独自開発のAI創薬プラットフォーム「aibVIS」を構築し、主としてmRNA標的医薬品の創出に取り組むバイオテック企業である。同社と契約した製薬会社は「aibVIS」を利用することで、それまでに製薬会社が自社内に蓄積してきた低分子医薬品の創薬技術や経験、化合物ライブラリーなどのインフラをそのまま生かしつつ、従来のタンパク質標的創薬の手法では開発が困難であった疾患を含め、幅広い疾患に適用可能なmRNA標的低分子医薬品の創出に効率的に取り組めるようになる。一方で自社パイプラインの開発にも着手しており、2025年に初の自社パイプラインとなる核酸医薬品候補を発表した。mRNA標的創薬で「どんな疾患の患者さまも治療法がないと諦めたり、最適な治療が受けられないと嘆いたりすることのない、そんな希望に満ちたあたたかい社会を実現し発展させる」との経営理念を掲げる。プラットフォーム事業と自社で創薬を進めるパイプライン事業によるハイブリッド型ビジネスモデルで事業を拡大し、最終的には研究開発・販売まで手掛けるスペシャリティファーマへの進化を目指している。2026年3月末の従業員数は21名で、うち研究開発人員は11名となっている。

aibVISによる共同創薬研究で成長し、2024年に株式上場を達成

2. 沿革
同社は2016年11月、代表取締役社長である中村慎吾(なかむらしんご)氏によって設立された。同氏は、武田薬品工業在職中の2004年に、当時としては先進的な着想による「mRNAを標的とする低分子創薬」を目指すプロジェクトを立ち上げ、2011年に退職する際に在職中の研究成果や機材を武田薬品工業より譲り受けた。その後、RNA構造を研究するための統計力学理論や熱力学理論、これらの理論を解析に応用するための計算ソフトウエアなど最新のテクノロジーを採り入れ、改めてmRNA標的低分子創薬を実現するための基礎技術を構築した。並行して医薬品ビジネスや医薬品製造、ベンチャービジネスに関する投資や経営、マーケティングの実務経験も積んだ。これら一連の経験を通じて、同氏はmRNA標的低分子創薬を広く製薬会社へ提供することが製薬業界に共通する課題への解決策になると確信し、同社の設立に至っている。

設立後間もない2017年に三菱ガス化学などから出資を受け、核酸医薬品の研究を本格的に始動し、核酸医薬品研究の第一人者である、梨本正之(なしもとまさゆき)教授が所属する新潟薬科大学に研究拠点を設置した。一方、2010年代後半よりRNAを標的とする低分子創薬を目指す企業が米国において相次いで立ち上がったことを踏まえ、同社もmRNA標的低分子医薬品の創薬事業を展開する方針を決定し、2018年より製薬会社と共同創薬研究を開始した。低分子医薬品の創薬研究に取り組むための研究拠点を、神奈川県川崎市のかわさき新産業創造センター・KBICに設置し、2019年にはmRNA標的低分子創薬のプラットフォーム事業を本格化した。2020年にはRNAを標的とした低分子創薬のビジネスモデル特許を国内で取得し、2021年以降は大手化学・製薬会社との共同創薬研究契約を相次いで締結するなど、同事業を積極展開した。共同創薬研究から得られる収益により期間損益も2023年12月期に黒字化を達成したことで、同社はさらなる成長に向けた資金調達を目的として2024年2月に東証グロース市場に株式上場を果たした。

2025年6月には自社初のパイプラインとして心臓血管手術後に惹起される虚血性急性腎不全の発症を予防する核酸医薬品の開発を決定した。また、同年12月には核酸医薬品を治療対象臓器に選択的かつ正確に届けるDDS「Perfusio」の特許(日本)を取得するなど新たな技術の開発にも着手している。2026年2月末時点でmRNA標的低分子医薬品の創出を目的とする共同創薬研究を進めているパートナーは、東レ、塩野義製薬、ラクオリア創薬、武田薬品工業の4社である。また、2025年6月に三菱ガス化学と核酸医薬品の創出及び製造方法確立を目的とする共同研究契約を締結し、2026年以降に決定する新たな社内パイプラインをこの共同研究内から創出することを意図している。さらに、2026年1月にはスイスのSpiroChem AGとmRNA標的化合物の共同探索研究に関する覚書を締結しており、欧州の企業との連携も広がりを見せている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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