299円カツ丼と「こはく本舗」の買収
西友とのシナジーを語る上で、もう一つの決め手となるのが「惣菜」です。
トライアルは、惣菜がスーパーマーケットにおける強力な集客ドライバーであり、成長ドライバーであることを熟知しています。
その実力を象徴するのが、299円という衝撃的な価格で売られている「ロースかつ重」です。
2016年に買収した「こはく本舗」という惣菜専門ブランドが開発を支えており、プロが監修した「安くて美味しい惣菜」は、今のトライアルの大きな武器となっています。
惣菜は一般的に粗利率が30〜40%と高く、ここを強化できるかどうかが西友買収後の収益性を左右することになるでしょう。
都心攻略の切り札「TRIAL GO」とセントラルキッチン構想
今後、トライアルは関東圏の都心部において、小型店舗「TRIAL GO」の出店を加速させる計画です。
2029年までに100店舗を出し、さらにその後も拡大を狙うという野心的なものです。
この都心攻略において、西友の大型店舗は「セントラルキッチン」という新たな役割を担うことになります。
大きな西友の店舗で大量に調理された出来立ての惣菜を、周辺に点在する小型のTRIAL GOへデリバリーする。
これにより、都心の狭い店舗でも美味しい惣菜を供給し、都心ユーザーの胃袋を掴もうとしています。
低コストな店舗運営と美味しい惣菜を組み合わせ、都心の毛細血管にまでトライアルを浸透させる。
これが彼らの描く勝利の方程式です。
戦国時代のスーパー業界で全国統一を成し遂げられるか
現在のスーパーマーケット業界は、イオンのような巨大勢力、成長著しいドラッグストア、そして惣菜に強いヤオコーなどの実力派がひしめく戦国時代です。
その中で、九州から現れたトライアルは、リテールテックという尖った武器と、西友という巨大な城を手に入れ、全国統一に向けた大きな一歩を踏み出しました。
もちろん、年間152億円ののれん償却を乗り越え、期待通りのシナジーを出していく道のりは決して平坦ではありません。
しかし、彼らが都心で見せる再現性の高い店舗展開が成功すれば、業界の勢力図を大きく塗り替える可能性があります。
まずはこののれん分をどう埋めていくのか、そして都心の小型店舗がどれだけの利益を生んでいくのか。
投資家として、その数字の推移を注視していく価値は十二分にあると言えるでしょう。
YouTubeでも詳しく解説しておりますのでそちらもぜひご覧ください。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年6月10日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。