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サンワテクノス Research Memo(6):AI関連の設備投資拡大を追い風に中期目標に対して上振れる可能性も(2)

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■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画

b) 顧客セグメント戦略
顧客セグメント戦略では、業界に精通した専門知識を有する人材を分野ごとに配置することで顧客との強固な関係を構築し、新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕を図る。注力分野として、半導体製造装置、ロボット、工作機械、医療機器、社会インフラ、車載、FAコンポーネント、専用機械の8分野を特定し、市場の魅力度や同社の強みに応じて競争力強化セグメント、積極的投資セグメント、高効率化セグメントと3つのセグメントに分類した。同取り組みでは国内だけでなく海外市場でも同様の戦略を推進し、事業規模拡大を目指す。競争力強化セグメントとは、市場競争が激しいなかで主に競争力を強化するために投資・施策を実施する分野である。積極的投資セグメントとは、現状の収益規模は小さいものの市場の成長期待が高く、優先的に投資を行うことで今後の成長の柱とする分野を指す。また、高効率化セグメントとは、現状収益の柱となっており、今後も事業を効率化することで持続的に資金を獲得していく分野である。なお、8分野合計の売上高は全体の約7割を占めている。FAコンポーネントが約2割と最も高く、次いで車載、半導体製造装置がそれぞれ1割強、専用機械が1割弱となっている。

競争力強化セグメントには半導体製造装置、ロボット、工作機械が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。このうち半導体製造装置分野の1期目(2026年3月期)の売上総利益成長率は前中期経営計画期間(2023年3月期~2025年3月期)の単年度平均売上総利益に対して1.8%減であったが、前期比では6.6%増と回復に転じ、2027年3月期はAI関連の半導体設備投資拡大を追い風に2ケタ増益が見込まれる。2026年3月期は次世代技術を軸とした主要顧客との共同開発を推進したほか、特定分野での戦略パートナー化を進め、高付加価値案件の創出に取り組んだ。なお、次世代技術とは最先端のAI半導体で今後採用が予定されている「COPOS(Chip on Panel on Substrate:コポス)」と呼ばれる次世代パッケージング技術を指す。TSMCが最先端半導体製造用に開発を進めており、2028年ごろの本格量産開始を目指している。従来はシリコンインターポーザー上に半導体チップを搭載してパッケージングしていたが、COPOSではシリコンに代わりコスト効率と熱安定性に優れるガラスを利用する。同社の主要顧客ではCOPOS技術に対応した次世代装置を開発するにあたり、その駆動部分となるサーボモータやロボットを組み合わせた同社のソリューションが採用された。今後の最先端半導体製造装置分野でのシェア拡大、及び中長期的な業績に貢献する取り組みとして注目される。

ロボット分野の1期目の売上総利益成長率は25.2%、前期比でも74.8%増と大きく伸長し、好調な滑り出しとなった。主な取り組みとして、市場拡大領域を捉えたセキュリティ・リモート保守分野での提案を強化した。また、工作機械分野の1期目の売上総利益成長率は7.5%、前期比では0.9%増となった。工程集約・自動化を軸としたソリューション提案などを推進し案件獲得につなげた。

積極的投資セグメントには医療機器、社会インフラ、車載が分類され、今後の利益目標として年率12~15%成長を目指している。このうち車載分野の1期目の売上総利益成長率は18.6%、前期比では39.1%増と大きく伸長した。前期に自動車メーカーの不正検査問題による製造一時停止の影響で売上が落ち込んだ反動増となっているほか、ADAS用光学ユニットが大きく伸長した。車載分野についてはADAS関連だけでなく電動化ニーズに対応した商品提案も進めており、中期的に2ケタ成長が見込まれている。医療機器の1期目の売上総利益成長率は5.5%、前期比で27.2%増となった。サーボモータなど同社の強みを生かせる駆動メカ部分が必要になる画像診断装置や検体分析装置を中心に、成長が見込める8つの重点カテゴリーを特定し、商品提案の強化と案件創出に取り組んだ。社会インフラ分野の1期目の売上総利益成長率は10.6%、前期比で20.3%増となった。EV充電・再生可能エネルギー関連の成長分野を重点領域として特定し、新規顧客・新規案件の開拓を推進した。

高効率化セグメントにはFAコンポーネントと専用機械が分類され、今後の利益目標として年率12%成長を目指している。FAコンポーネントの1期目の売上総利益成長率は21.2%減となり、前期比では7.8%減と低調な滑り出しとなった。2026年3月期途中まで顧客側で在庫調整が続いたことが影響したが、足元は在庫調整も一巡し受注は上向いている。仕入先メーカーとの連携を強化し、次世代大手顧客の深耕営業に取り組んだほか、展示会などへの参画を通じて販売力・提案力を強化した。専用機械の1期目の売上総利益成長率は0.2%減となり、前期比では13.4%増となった。仕入先やSIerとの連携を通じて既存顧客との取引深耕を図ったほか、展示会を活用した提案機会の創出に取り組んだ。

c) エリア戦略
国内の戦略方針として、1)5支社への責任・権限の集中により、迅速かつ顧客密着での営業活動の実施、2)スマート営業所※1の増強によるリアルでの顧客接点の強化、3)スマート物流※2の展開による顧客サービス・顧客満足度の向上、の3点に取り組んでいる。5支社への責任・権限の集中に関しては2025年3月期より体制を整備し、併せてエリア開拓目標の明確化と支社評価制度の見直しも行った。支社間で競争意識を芽生えさせることで営業活動を活性化する効果をねらっている。数年前から取り組み始めたスマート営業所は1拠点2~3名の営業人員で近隣エリアをカバーするもので、費用対効果が高く、今後も需要が見込める地域に開設する意向だ。

※1 スマート営業所とは、顧客の近くに存在するベストパートナーを目指し、営業人員が顧客の存在する各地に駐在し営業サービスを提供、業務オペレーションは営業本部から遠隔支援するため、事務スタッフは必要としない。
※2 スマート物流とは、「見える化システム」を活用して物流拠点の最適化と高精度な運営を実現し、さらに顧客ニーズに応じた柔軟なサービスを提供できる物流システムのことで、総合的なサービス品質の向上が期待される。

一方、海外市場についてはグローバル戦略として、顧客セグメント戦略のグローバル展開やASEAN・インド地域における成長戦略の重点化、地域統括への責任・権限の集中を進めている。また、ローカル戦略として中国地域では売上高の約5割を占めるローカル企業向けの取引深耕と仕入先開拓に取り組んでおり、2026年3月期は半導体製造装置業界や自動車関連業界のローカル企業向け受注が増加した。ASEANについては、従来日系企業向けにグローバルSCMソリューションサービスを展開していたが、今後は同ソリューションに技術支援体制を加えたビジネス形態へと進化させ、現地ローカル企業の顧客開拓も推進する。欧米地域では、独自の商品力・付加価値の提供に重点を置き、現地の販売パートナーの開拓や新たな商材の発掘などを行いながら事業規模を拡大する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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