■アピリッツ<4174>の業績動向
1. 2026年1月期の業績概要
2026年1月期の業績は、売上高が前期比10.5%増の9,955百万円、営業損失が309百万円(前期は185百万円の利益)、経常損失が317百万円(同185百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が465百万円(同45百万円の利益)と、増収を確保したものの、各段階損益は損失を計上した。
売上面は、Webソリューション事業が大型不採算案件への対応に自社エンジニアを長期間投入したため、新規案件の獲得活動や新たな開発ラインの構築が制約されたことで機会損失が発生したものの、全体としては増収となった。デジタル人材育成派遣事業ではミドル・シニア層の採用強化やラボ型開発の拡大を進め、大口派遣先の契約終了による第4四半期の落ち込みを吸収して増収となった。推しカルチャー&ゲーム事業では、「けものフレンズ3」「UNI’S ON AIR」の周年施策や季節イベントに加え、「乃木坂的フラクタル」の運営移管が寄与し、売上高が伸長した。
コスト面については、Webソリューション事業において大型不採算案件に自社エンジニアが固定されたことに加え、通常の案件と比べて外注先や業務委託人材の活用が増え、外注費と対応工数が膨らんだ。第4四半期には同案件の不確実性を解消するため、案件の進捗度や回収可能性を見直し、売上高を89百万円減額した。同案件はフロントエンドを先行して設計したことやスコープ管理の不足などにより手戻りが発生し、外注費と工数が増加した。同社は再発防止策としてPMOによる全社横断の管理、要件定義段階の技術審査、受注プロセスの厳格化を進めており、案件の入口で難易度や採算リスクを精査する体制へ改めている。当該案件の直接的な損益影響は2027年1月期第1四半期に収束した。今後は、新たな受注審査・PMO体制の構築による、大型案件の採算性管理の実効性が焦点となる。デジタル人材育成派遣事業ではミドル・シニア層の採用強化や教育投資、ラボ型開発の拡大に向けた体制整備により短期的なコスト負担が増加した。推しカルチャー&ゲーム事業は341百万円のセグメント利益を確保したものの、分社化に伴う共通費配賦などにより減益となった。その結果、営業利益は損失計上となった。
2. 2026年1月期の事業セグメント別動向
(1) Webソリューション事業
Webソリューション事業の売上高は前期比7.1%増の3,519百万円、セグメント利益は同78.6%減の98百万円となった。企業のDX需要は継続したものの、大型不採算案件の影響が売上・利益の両面で重荷となった。売上面は、グループ会社の寄与や運用・保守、コンサルティングの増加により増収となった。一方で、第4四半期は不採算案件にリソースが割かれたことで新規の開発ラインを構築できず、不確実性の解消を目的として89百万円の売上一括修正を実施したことも重なり、売上成長が一時的に鈍化した。利益面は、フロントエンド先行の設計進行やスコープ管理不足に起因する手戻りにより、外注費の増加と工数超過が発生したことが大きく影響した。これに対し同社は、要件定義段階の技術審査の厳格化、PMOによる進捗・リスク管理の強化、設計レビュー体制の整備を進めており、同案件は2027年1月期第1四半期に収束した。
(2) デジタル人材育成派遣事業
デジタル人材育成派遣事業の売上高は前期比22.1%増の1,850百万円、セグメント損失は11百万円(前期は39百万円の利益)となった。企業のDX推進が継続するなか、システム開発、クラウド、生成AI活用などの領域で高度なデジタル人材への需要は高水準で推移した。売上面は、子会社Y’sが2025年4月にJUTJOYを子会社化した効果などにより、通期では大幅増収となった。利益面は、大口派遣先の解約に伴い月約30名弱の待機が発生したことに加え、生成AIの普及に対応した受託モデルのライン構築や、ミドル・シニア層の先行採用に伴う費用が先行し、損失となった。採用した人材は順次稼働が進んでおり、同社は2027年1月期第1四半期以降に稼働率と収益性の回復を見込んでいる。
(3) 推しカルチャー&ゲーム事業
推しカルチャー&ゲーム事業の売上高は前期比9.1%増の4,667百万円、セグメント利益は同26.3%減の341百万円となった。売上面は、「けものフレンズ3」「UNI’S ON AIR」が2025年9月にサービス開始6周年を迎え、周年イベントの実施がゲーム内課金の増加に寄与した。また、2025年6月に「乃木坂的フラクタル」の運営体制を同セグメントへ完全移管したことにより、運営パイプラインが拡充した。利益面では運営効率化と内製化を進めたものの、分社化に伴い従来全社費用となった一部共通費が配賦されたことなどから減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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