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日銀ETF購入、ばらまき祭りの後始末。絶好の投資機会となるか?植田新日銀総裁の異次元緩和出口戦略を予想する=Team xoxo

植田新日銀総裁の所信聴取で、緩和政策の転換がなされるのかと市場関係者は固唾を飲んで見守っていました。結果的には緩和政策が維持されることとなり市場は平穏を取り戻しましたが、いずれは緩和政策の転換を向かえることになります。その時、どのような方策が取られるのか?過去の日銀政策や海外での成功例などを挙げ、出口戦略について予想します。
(『元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』)

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※本記事は、『元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』2023年2月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:Team xoxo
元外資系金融機関出身3人で結成した『あなたに寄り添う』をテーマに金融リテラシー向上で人生を楽しむお手伝いを目標にするチームです。

植田新日銀総裁の異次元緩和出口戦略を予想

24日に行われた植田日銀新総裁の所信聴取が話題になりました。

市場関係者は、ここでこれまで黒田総裁が進めてきた異次元緩和政策の転換がされるのではないかと危機感を持って、この聴取を固唾をのんで見守っていましたが、明確な転換を示す発言はなく、現在の物価高騰に関しても、コストプッシュ型インフレなので、令和5年後半には下がるとの見方を示し、今の緩和政策継続を少なくとも安定的物価上昇が2%になるまでとの見方を示しました。

この発言でマーケットは買い戻され、為替も一時135円台まで円安が進みました。

こういう動きを見ていると、投資家はプロもアマもマクロ動向が最大のカタリストであり、今後も株式市場動向を決めることになるのを改めて感じました。

一方で、物価上昇率がこのまま上がり続けた場合、日銀は緩和的政策を転換することを意味しますので、一部では「日銀ETF売却か?」などという記事も散見されるようになっています。

公的資金による株式維持政策の歴史

そもそも日銀ETF買いオペレーションが始まった時、いくつかの転換点があることは容易に想像できました。

買い入れ期から買い入れ金額低下、買い入れ頻度低下、そして停止。最後に処理の話です。

現状は「買い入れ頻度低下時期」です。

釈迦に説法ですが少し政府の株式維持政策の歴史と黒田日銀総裁のETF購入に関するまとめをしたいと思います。

日本は大規模な経済的な危機が起きると、必ず政府や日銀が何かしらの介入を行い、その危機を救済しようとするアクションを取ってきました。

1965年の日銀特融

その昔、株価維持ではないですが、1965年(昭和40年)5月28日に日銀が証券会社向けに、事実上無担保・無制限に特別融資することを決めたい、わゆる「日銀特融」が有名です。まず大手の山一証券が対象になり、2カ月後の7月には大井証券にも特融が実施されました。

これは1964年に銀行主導で日本共同証券が設立され、東証1部上場の優良企業や日経ダウ平均に影響のある株のみ買い入れたことが上手く行かず、山一始め証券不況が一層厳しくなったことを受けての措置でした。

日本共同証券自体株価維持というよりも、銀行の担保価値維持が目標だったとも言われています。

その後、日本証券保有組合設立で購入株式の範囲が広がりました。

しかしながら60年代後半から買い入れ銘柄の放出が始まります。

日本はOECD加盟後、海外から資本市場開放の圧力があり、外国企業からの買収防衛策として、銀行と企業の株式持ち合いをこの放出株の買い手に使いました。

当時、金融機関と事業法人の株式保有比率は、金融機関と事業会社の株式保有比率は1964年度末の各々21.6%、18.4%から1969年度末にはそれぞれ30.7%、22.0%に上昇しとのことです(東証の資料)

ご理解いただけると思いますが、近年の株式市場、特に金融機関はこの持ち合い株の呪縛で、動きが非常に限定的になっています。

もちろん世界的なルールの影響で、自己資金運用の制限はかかっているとはいえ、金融機関が投資主体別投資家動向を見ても、常に売り手なのはこのためです。

事業法人に関しては、持ち合い解消の売りは出るものの、自社株買いという流れが一方であるので、今の株式市場では引き続き買い手であることはご存じのとおりです。

Next: バブル崩壊後から始まった日銀の株価支え戦略

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