■ウェルネス・コミュニケーションズ<366A>の事業内容
同社は、コーポレート・ウェルネス(職域における健康管理)の課題解決に向け、「ネットワーク健康診断サービス」と「SaaS型健康管理クラウドサービス」という2つのコアサービスを展開している。創業時からエンタープライズ企業の開拓を進めており、2026年3月末時点において、従業員数1,000~50,000人規模の大企業を中心に4,943社(1,843企業グループ)と取引し、利用ID数は約250万に達している。
労働安全衛生法により、事業拠点単位で50人以上の従業員を抱える企業には、雇入時健康診断や定期健康診断、ストレスチェックの実施などが義務付けられている。さらに、健康診断結果の保管や報告、産業医の選任、労働基準監督署への定期健康診断結果報告書の提出など、多岐にわたる対応が求められる。同社のサービスは、こうした一連の健康管理業務をデジタル化し、一元管理することで、企業の業務効率化と実務負担の軽減を実現するものである。
手掛ける事業は、「健診ソリューション事業」「健康管理クラウド事業」「医療機関等支援事業」の3つのセグメントに区分される。2026年3月期の売上構成(営業利益構成)は、健診ソリューション事業88.1%(32.0%)、健康管理クラウド事業10.3%(64.7%)、医療機関等支援事業1.6%(3.4%)となっており、収益性の高いクラウド事業が利益面での柱となっている。
1. 健康管理クラウド事業
企業の人事部門や産業保健スタッフ、並びに健康保険組合に対して、健康診断結果、ストレスチェックデータ、就労データ、面談記録などを個人ごとに一元管理できるSaaS型健康管理クラウドサービス「Growbase」を提供する事業である。大規模企業向けに豊富な機能を提供する主力サービス「Growbase」に加え、近年は中小企業向けに機能を最適化した「Growbaseネクスト」を展開している。これにより、企業規模を問わず、健康データの一元管理を通じた健康管理業務の効率化と健康経営の推進を支援している。
2026年3月期末における「Growbase」の契約企業数は262グループ(前期末比30グループ増)、ID数は183.6万ID(同9.2万ID増)と順調に拡大している。チャーンレートは0.20%※と低水準を維持しているほか、2026年3月期第4四半期末のARR(年間経常収益)は1,223百万円(前年同期末1,147百万円)に達した。顧客基盤は着実に拡大しており、高い継続率を背景とするストック型収益モデルが特徴となっている。
※ 当月度解約顧客数÷前月度利用顧客数により算出された月次チャーンレートの平均値。
「Growbase」は、労働安全衛生法や高齢者の医療の確保に関する法律などに基づき、企業や健康保険組合に求められる各種法的義務への対応を支援するサービスである。健康診断結果、就労データ、ストレスチェックデータ、各種面談記録を個人ごとにひも付けて一元管理・可視化できるほか、健康診断後の集計・抽出機能、労働基準監督署などへ提出する各種報告書の作成機能、産業医との対面またはオンライン面談のスケジュール管理機能などを備えている。さらに、同社の「ネットワーク健康診断サービス」と連携することで、標準化された健康診断結果データを自動連携でき、受診案内から予約、経年管理、事後措置までを一気通貫で管理できる点に特徴がある。「Growbaseネクスト」は、中小企業で不足しがちな人的リソースやコスト面の課題に対応するため、必要十分な機能をパッケージ化し、短期間かつ低コストでの運用開始を可能にしている。
競争優位性としては、プロダクトリリースから20年にわたり、継続的に累計1,500以上の機能追加・改修を重ねてきた点が挙げられる。これにより、多様な産業保健ニーズや法令対応に対して、過度な個別開発を行うことなく導入できる。また、高い専門性と豊富な経験を持つカスタマーサクセス部門が、オンボーディングから運用定着までを支援しており、幅広い業種・業態で蓄積した知見がさらなる支援品質の向上につながっている。
システム利用料の料金体系は、主としてストック型売上とフロー型売上に大別される。ストック型売上は、顧客企業の対象従業員数に応じた基本利用料、従業員データの保管料、管理者サイトにおけるセキュリティ認証利用料などで構成される。フロー型売上は、オプション機能利用料や個別カスタマイズ料などからなる。これに加えて、サーバーセットアップ費用や過去データ移行などの初期設定費用が発生する。なお、2026年3月期のストック売上高比率は90.6%、契約継続率は99.8%と高水準である。
販売体制は直販と販売代理店の併用で、直販(ユーザー企業からの紹介を含む)が事業セグメント売上高の約6割、販売代理店経由が約4割を占める。販売代理店は、伊藤忠テクノソリューションズ、SOMPOヘルスサポート、アドバンテッジリスクマネジメント、(株)イーウェルの4社で、各社は、それぞれの顧客基盤や営業力を活用し、大企業や健康保険組合を中心に開拓を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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