日本経済のマイナス要因は海外ではなく国内にある
安倍首相は「世界経済のリスクが日本経済にマイナスの影響を及ぼさないよう万全を期していく」と強調して、「財源の裏付けなき大胆な経済対策」に打って出た。
しかし、時を同じくして米国で開催されたFOMCでは「短期的な経済見通しへのリスクは低下した」という見解が示された。
6月に開催されたFOMCで「ほとんどの参加者が英国民投票が米経済を妨げ、金融市場を混乱させる可能性があると指摘」していたことを考えると、FOMCメンバーは「世界経済のリスク」は低下しているという認識を持っていることになる。
FRBが「世界経済のリスク」が低下する方向にあるという認識を示すなかで、「世界経済のリスクが日本経済にマイナスの影響を及ぼさないよう万全を期していく」と強調して「財源の裏付けなき大胆な経済対策」を打ち出したる安倍首相。
市場が求めているのは「大規模な対策」ではなく、「日本経済にマイナスの影響を及ぼす原因は国内にあり」という正しい原因分析に基づいた経済対策である。
安倍首相と黒田日銀総裁がこのことに気付かずに無駄な経済政策と金融政策を打ち出し続ける限り、アベノミクスが再度市場からの信頼を得ることは難しいといえる。
『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年7月28日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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