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世界が困惑「カタール国交断絶」を招いたトランプ大統領の余計な行動=大前研一

中東トップの放送局「アルジャジーラ」への逆恨み

そして、もう1つの問題は、アルジャジーラという中東のトップテレビ放送局がありますが、これはカタールの放送局です。この放送局がイランとの融和を主張し、サウジに対してはきついことを言っているとして、この放送に対する逆恨みという側面もあると言われています。

本当のところはわからないわけですが、サウジアラビアも胸に手を当ててみれば、今まで自分たちが中東を混乱させるようなことを一番やっていたわけです。そしてその混乱に拍車をかけたのがトランプ大統領だったという話なのです。ある意味カタールはちょっと不意をつかれたという感じでしょう。

UAEではカタールを擁護するコメントをした人は牢屋に入れられることにもなっています。しかしUAEも全方位外交をやりたい国なので、困っているのだと思います。

中東には、GCC(湾岸協力会議)というものがあり、サウジ、UAE、カタール、クウェート、オマーン、バーレーンが加盟しています。これが今回決裂してしまったということで、今までのこの会議は何だったのかということになってしまいました。

日本にも影響大

一方、日本の場合ですが、カタールとの結びつきが非常に強く液化天然ガスの輸入相手国を見ると、マレーシアやオーストラリアからも輸入していますが、3位のカタールにとっては日本が一番の相手国、トップ顧客なのです。ここがいろいろとトラブルになると、困った事態になると言えます。

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FIFAワールドカップなどを中東のように暑いところでやるのは大変です。2022年の開催国カタールでは冬季開催を予定しているので気温は気にならないですが、日本との関係を見ると、カタール情勢が悪化して航空機も飛べなくなると大変困った事態になるのです。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年6月21日号)より一部抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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