アメリカ一極覇権の終わり
「トランプ・リスク」の1つには、彼が常識外れのことをしでかすのではないかとの不安もありますが、それ以上に、これまで世界を支配してきた構図が変わろうとしていることによる不安、例えば、ビルダーバーグに変わる新しい力が何なのか、ビルダーバーグを凌駕する力が何を目指しているのかわからない不安があります。
同時に、クリントン氏に体現して進められようとしていた軍産複合体の利益、金融資本主義をベースとした軍事経済戦略が継続されるのか、否定され新しい枠組みが構築されるのか、という問題にもつながります。
だからこそ軍産複合体と連携したメディアや、ウォール街の面々は、自分たちの利益に反するトランプ氏を攻撃してきたわけです。
世界のフレームが根本的に変化する?
クリントン氏が「予定通り」勝利すれば、既存の権力構造、戦略に大きな変化はないはずでしたが、トランプ氏の勝利は、根本的に世界のフレームが変わる可能性を示唆するものです。そのバックグラウンドが見えてくるまでは、新しい世界がどんなものになるのか、イメージしにくい状況が続くのではないかと思います。
トランプ氏は「米国第一主義」と言いますが、実際はクリントン氏を利用する勢力の方が米国の一極覇権を続けてきたのに対し、トランプ氏はロシアや欧州と役割分担し、米国が世界の警察でも、世界の一極覇権でもない世界を作ろうとしているように見えます。
『マンさんの経済あらかると』(2016年11月9日号)より抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。